中国初の空母「ワリャーグ」が11日、2回目となる試験航行を終えて、大連の港に帰港した。新たな試験項目が行われた可能性が高く、中国の海洋進出のスピードが加速していることを裏付けた。

今回の試験航行は12日間で、1回目(8月10~14日)よりも倍以上長かったことが特徴的。13日付読売新聞によると、艦載機として予定されている国産戦闘機「殲15」との合同演習を初めて実施したとみられ、空母と艦載機の間の通信テストが行われた可能性があり、本格運用に向けた整備が「予想以上に速いペースで進んでいる」(外交筋)という見方が出ている。

だが一方で、この空母が「張り子の虎」という、アメリカの軍事専門家の指摘もある。その主な指摘は以下のようなものだ。

  • ワリャーグのウクライナ製エンジンには欠陥が多い。
  • 米軍空母には必ず付き添って航行する、護衛の駆逐艦や巡洋艦、攻撃型潜水艦などが不足している。
  • 米軍空母が搭載するレーダーや、敵レーダーの妨害機などが存在しない。
  • 有事の戦闘では、米軍や日本の海上自衛隊の艦艇からの攻撃に極めて弱い。

ワリャーグは、東シナ海、南シナ海に面するアジア諸国にとって脅威か、それとも張り子の虎か。いずれにしても、軍事覇権国の中国に対して、日本は指をくわえたままでは危険だ。野田政権は、沖縄の普天間基地移設問題や防衛相の問責決議問題などで迷走している場合ではない。(格)

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