かつてこれほど「増税」に執念を見せる政権があっただろうか。
政府・民主党が、高所得のサラリーマンの厚生年金保険料の引き上げを再び検討し始めたと各紙が報じている。今後、民主党の「社会保障と税の一体改革調査会」で検討するという。
対象となるのは、月収63万5千円以上のサラリーマンで、月額の年金保険料は労使の総額で10万2千円から19万9千円にほぼ倍増する。
年金保険料だからいずれ自分に返って来るお金かというとそうではない。「世代間の助け合い」という名目の下に、高齢者世代に配分されるものだ。その意味で、年金保険料は税金による「所得再配分」と同じであり、高所得のサラリーマンが「2倍の税金を納めよ」と言われるのと同じということだ。
大川隆法・幸福の科学総裁は著書『危機に立つ日本』(幸福の科学出版刊)でこう指摘している。
「国民から年金の積立金と称して集めていたものを、現実には、国民が老後に年金として受け取る前に、政府の人たちが、「税金だ」と思って、かなりの部分を使っていました。そして、その穴埋めをするために増税しようとしているのです」
1889年に世界で初めてドイツで強制加入の公的年金ができた際も、1942年に日本で厚生年金が設けられた際も、目的は戦費調達だった。その“伝統”が今まで続き、すっかり他の目的のために使い果たしてしまったというわけだ。
野田政権が検討している増税メニューは、「消費税の10%への引き上げ」「所得税の最高税率を40%からさらに引き上げ」「配偶者控除の廃止・縮小」「証券優遇税制の廃止(10%から20%に引き上げ)」などだ。所得税については、復興対策のため、2013年1月から25年間、税額を2.1%分上乗せすることが決まっている。
政府の使い込みと経営のまずさが生んだ財政赤字を国民にすべて転嫁するという「暴政」が許されていいのだろうか。(織)
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2011年11月30日付本欄 証券優遇税制2013年で打ち切り 10%から20%へ
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3403
2011年11月23日付本欄 今さら累進課税? 政府税調が富裕層の所得増税を検討