27日に投開票が行われた大阪市長・府知事のW選挙は、橋下&松井の「大阪維新の会」コンビの圧勝に終わった。

これまで、ほとんど無名だった元府議会議員の松井一郎氏を当選させた橋下人気もさることながら、大阪市・府民である筆者が驚いたのは、大阪市長選の60.92という投票率の高さだった。

これまでの選挙の投票率が40%前後であったことと比べると、大阪市民がいかに今回の選挙に関心をもっていたかが分かるというものだ。

実際、当日昼過ぎの市内某所の投票所では、いつもの選挙の時よりも、幼い子供連れの若い夫婦をたくさん見かけた。

投票日直前まで、「厳しい戦いです。応援してください」と訴えていた橋下氏だが、フタを開けてみれば、現職の平松氏に22万票以上の大差をつけての圧勝だった。

一方、府知事選挙の方も、「大阪維新の会」幹事長である松井氏が、民主・自民・共産党推薦の倉田氏に対し、80万票以上も獲得しての当選。街宣活動では橋下氏が常に寄り添って、自分は脇役に徹して「松井をお願いします!」と訴えていたが、「大阪維新の会」の改革に賭けてみたいという府民の意思が反映されたと言えるのではないだろうか。

橋下氏が目指す「大阪都構想」の実現までには、地方自治法など法律の厚い壁をはじめ、さまざまな高いハードルが待ち受けており、どのような形で着地できるのかは未知数だ。

そこでやはり、橋下新市長には、大阪市政と公立教育の具体的な改革をスピーディーに進めてもらいたい。橋下氏の公約には大阪都構想以外にも、見るべき公約が多い。

  • 大阪市の市民1人当たりの職員の人件費負担は10万1586円(横浜市5万7354円)にのぼる。約1万2000人(職員総数の約3割)以上の職員を削減。不要となった不動産等の資産を売却。
  • 民間でできることは役所ではやらない。市営地下鉄・バスを完全民営化する。私鉄との相互乗入、乗換を推進し、利便性を高め、運賃の値下げを行う。
  • 保育所、幼稚園を民営化し、待機児童の解消、サービスを充実する。
  • 生活保護の不正受給を徹底的に排除。真に必要な困窮者を救済。

進めるべきではないのは、「脱原発」的な政策だ。

  • 原発依存度を下げることを目指し、発送電分離の推進で新規参入を促し、競争によって電力の供給体制を確立。関西電力株式会社の株主提案権を行使する。

これ以外は、極めて真っ当な政策が多い。橋下氏の「腕力」に期待したい。〈宮〉

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2011年11月16日付本欄 「維新の会」VS「反・維新の会」となった大阪市長選

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3284