細野豪志原発相が26日、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の廃止を検討する考えを示しているほか、政府の行政刷新会議も政策仕分けでもんじゅの抜本的見直しを提言し、存続の危機を迎えている。
もんじゅは、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを燃料として発電しながら、使った燃料よりも多いプルトニウムを作り出す「核燃料サイクル」の要の技術だ。海外の資源に頼る日本にとっては、夢のエネルギー技術で、2050年ごろまでの実用化を目指している。
しかし95年のナトリウム漏れ事故後、ほとんど稼動していない。昨年5月に14年余ぶりに試験運転を行ったが、燃料交換装置の落下事故が起こり、本格運転に入れないでいる。これまで投入された資金は1兆円超。維持管理で1日5千万円以上かかるという。
一方、中国は今年7月、高速増殖炉の実験炉からの送電に成功。2025年までに商業化を目指し全力を挙げている。中国は「原発大国」の道をひた走るとともに、核兵器に使えるプルトニウムをさらに蓄積しようとしているのだ。
日本がもんじゅを実用化すれば、中国に対する潜在的な核抑止力となるはずだが、民主党政権はそれをも放棄しようとしている。この政権は中長期的なエネルギー政策で、必ず中国に有利な判断をしている。何か背後に良からぬ力が働いているのだろうか。(織)
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2011年10月27日付本欄 夢のエネルギーが「仕分け」対象? 「もんじゅ」廃止に動く政府の不見識