食品からの放射線被曝による影響を検討していた食品安全委員会が27日、「健康影響が見いだされるのは、生涯の累積でおおよそ100ミリシーベルト以上」とする評価をまとめ、厚生労働相に答申した。厚生労働省は新しい基準の案を年明けまでにまとめる見通し。
だが、「生涯で100ミリシーベルト」を安心かどうかの目安にすることは、大いに疑問がある。明日29日発売の「ザ・リバティ」12月号で、放射線防護学の第一人者である札幌医科大学の高田純教授は、「一生涯における放射線量という考え方には、ほとんど意味がありません」と明言している。
詳しくは同記事(本サイトの下記有料記事でも閲覧可)をご覧いただきたいが、ポイントを紹介すると、
「放射線というのは、ずっと体内に蓄積されるものではない。なぜかというと、人間の細胞は毎年といわず毎日、どんどん新しいものに入れ替わっていくからだ」
「皮膚の細胞は2週間で入れ替わってきれいになる。髪の毛やヒゲなどもそう。例えば皮膚が、今月に10ミリシーベルト、来月も同じく10ミリシーベルトを被曝しても、来月の皮膚は今月の10ミリシーベルトを覚えていない」
「だから、『生涯に受ける放射線量』というのは、実はほとんど無意味な表現である。『何十年たつと100ミリシーベルトに達する』などという人もいるが、これは全く心配する必要はない。過剰に危険性をあおるのは科学的ではない」
繰り返すが、高田教授は日本の放射線防護学の第一人者である。食品安全委員会がどういった根拠で「生涯の累積でおおよそ100ミリシーベルト」を打ち出したのか、まことにもって理解に苦しむ。不必要に厳しい基準を設ければ、農産物等の生産者に対して必要以上に厳しい仕打ちになるのだが。(司)
【関連記事】高田純教授の 放射線これだけ知れば怖くない