小宮山厚労相は、年金支給開始年齢を68歳などに引き上げる案について、現役世代を中心に反発が強く、来年の通常国会に提出することを断念した。27日付各紙が報じている。

厚労省にとっては予想外の反発の強さだったようだが、国民が反発するのは当たり前だ。ただし、その一方で野田政権は、年明けの通常国会に「消費税増税法案」提出を目指し、12月に一気に増税幅と時期を決める方向だという。

すでに、安住財務相は、G20で「消費税を10%に引き上げる」と国際公約までしてしまっている。「既成事実」づくりをして、国内議論を抑え込んで、強引に増税に持ち込もうというハラだろう。

しかし、国民はだまされてはいけない。この「国際公約」には裏があると、産経新聞の田村秀男編集委員が20日付同紙で書いている。ポイントは次の通り。

「日本は世界最大の貯蓄大国。デフレ不況のため、国内向け貸し出し需要が弱いため、銀行はその多くを海外融資に回している。だから国際金融市場は日本の資金が最大の頼りだ」

「ところが、日本の復興や社会保障のために巨額の国債を発行し、国内貯蓄をそっちに向けてしまうと、海外に回るカネが減っていく。そこで財務官僚は安住財務相を通じて、『ご心配なく、われわれは増税して財源をまかないます』というメッセージを流しているのだ」

「日本の増税で利害が一致する日本の財務省とIMFはタッグを組んでいる」

「だが、国内経済を無視した対外配慮優先のツケは日本に舞い戻る。このままでは日本国民は勤勉に働き、貯蓄しても巨額の富を失うばかりだ」

つまり、ギリシャ債務危機は「対岸の火事」ではない。その火を消すために、わが家の大事な貯金が回っているのだ。それも、国民に知らされずに、財務官僚や無能な政治家の一存によって。

国民世論を無視して勝手に「国際公約」をし、国民の貯金を海外に回すために、「増税」を強行しようとする。このような野田政権・財務省の策謀を許すわけにはいかない。年金問題で世論が沸騰したのと同じように、「増税許すまじ」の世論を突き付けねばなるまい。(仁)

田村秀男氏の産経新聞記事は

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/111020/fnc11102003150004-n1.htm

田村秀男氏はリバティ2011年4月号にも登場

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=1418