韓国で26日、ソウル市長選の投開票が行われ、無所属の市民活動家で弁護士の朴元淳(パク・ウォンスン)氏が勝利し、与党ハンナラ党候補のナ・ギョンウォン氏らを破った。ソウル市長は2002年以降、ハンナラ党が守ってきたポストであり、この結果は来年4月の総選挙、12月の大統領選に影響を及ぼすとみられる。

勝利宣言で「私たちは新しい時代を選択した。人と福祉中心の市政が実現する」と語ったように、朴氏は、学校給食の全面無料化や福祉予算の30%拡大など、「暮らし重視」「格差解消」「福祉向上」を訴える社会派弁護士。学生運動に参加して大学を除籍されたり、同国の有力な市民団体「参与連帯」を創設するなど、左派・革新系の人物として知られている。

今回の選挙結果について、韓国紙は次のように伝える。

「韓国政治のパラダイムの変化をもたらす『ビッグバン』となり得る。朴候補の勝利には、野党側の統一候補という点だけでなく、無党派層の票が集まったという点も大きく貢献した」(27日付朝鮮日報)

「李明博大統領のレームダックも加速すると予想される。選挙の過程で『内谷洞(ネゴクドン)私邸』問題が浮上し、羅(ナ・ギョンウォン)候補にとって大きな悪材料として作用しただけに、李大統領に対する党の不満が強まり、党が李大統領と距離を置く可能性も排除できない」(27日付中央日報)

「朴新市長は、実現可能性が疑わしいか、ソウル市財政に大きな負担をかけるような公約については、再検討しなければならない。ソウル市の負債を7兆ウォンも減らすとして、公共賃貸住宅を8万戸も建設するとした公約は、実現可能性が疑わしい」(27日付東亜日報)

単純な比較は禁物だが、「国民の生活が第一」「格差是正」などを訴え、2009年に政権の座についた日本の民主党政権を思い起こすのは筆者だけか。来年の韓国大統領選で、中国や北朝鮮に近づいた故・盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領のような左派系の候補が当選したら、日本はますます危ない。(格)