週刊誌が年金問題追及を続けている。特に激しいのが、今週発売された週刊ポスト11月4日号。「亡国の年金改革30年計画を暴く」と大特集を展開している。

同誌の報道から、以下にいくつか論点を紹介する。

  • 『社会保障と税の一体改革案』によると、消費税5%引き上げで約13兆円の税収増になるが、このうち年金に回るのは6千億円に過ぎない。増税の大半は官僚たちの利権予算を減らさないために使われる。
  • 年金官僚たちが莫大な無駄遣いを続けてきた結果、厚労省の内部試算では年金財政には550兆円の債務が隠されている。だから70歳支給開始にして1人1千万円ずつ年金を減らし、支給総額で344兆円を浮かして、隠れ債務をなくそうとしている。
  • 現在65歳の平均モデルでは年金を払った額(労使合計)ともらえる額の差は約2倍で得するが、現在45歳だと1.15倍になる。これが70歳支給になると払った保険料ともらえる額はほぼ同じ。この世代より下は確実に「払い損」になる。
  • すでに年金官僚たちは、30年も前から、『支給開始年齢』をスライドさせることが自分たちが使えるカネを増やす錬金術だと知っていた。

同誌は、「野田政権が国民に押し付けようとしている年金改悪は、増税官僚と年金官僚、御用メディア一体の国民収奪シナリオなのだ」と断じている。

ここしばらく、年金に関する議論は続くだろう。その過程で、次々と「国家的詐欺」の実態が明らかになるだろう。

だが、すでに本誌も民主党政権が誕生する前の2009年9月号(7月末)の段階で、年金が「国家的詐欺」であり、年金問題を根本解決するには、制度の抜本的見直しとともに、「経済成長」と「人口増加」しかないことを論じている。民主党が政権を獲れば「大増税地獄」が来ることも予見していた。(仁)

参考記事

2009年9月号「年金破綻」はこちら

http://www.the-liberty.com/article.php?pageId=1&item_id=659