夫婦が生涯にもうける平均の子供の数(完結出生児数)が調査開始以来、初めて2人を下回り、少子化傾向が進んでいることが分かった。22日付け産経新聞が伝えている。

国立社会保障・人口問題研究所の2010年の出生動向基本調査(夫婦9050組を対象に実施)で分かったもの。未婚の女性も含めた合計特殊出生率は2010年には1.39だったが、夫婦の子供の人数は1962(昭和37)年から前回調査の2005年まで40年以上、2人台を維持していた。これが2010年には1.96で、過去最低となった。

調査によれば、夫婦が理想とする子供の平均は2.42人なのに、実際は2人弱しか子供をもうけていない。理由のトップはやはり「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」。60.4%がそう回答している。

筆者は先日、学生時代の仲間と集まった。筆者の子供は高校生と中学生の2人だが、仲間の子供はすでに大学生や社会人も多い。自分や夫が大企業に勤めていい給料をもらっている男女の仲間たちが「娘2人を中学から大学まで私立に行かせるには、夫婦で働かないと無理だし、お金がほとんど残らない」といった愚痴で盛り上がっていた。多くの家庭では子供たちの学費の捻出が、経済面における最優先事項なのである。

子供の教育に昔より金がかかる理由は、以前に下記の関連記事でも書いたが、公立中学や都道府県立高校が学力面でも道徳面でも中身が低下してしまったことだ。公立中学の多くは勉強のレベルが低く、いじめで荒れている学校も少なくない。都道府県立高校の大学進学実績も昔とは比較にならない低さ。これらを嫌って、学費は高くても私立を選ぶ家庭が多いのと、学校の勉強ではとても受験に対応できないので塾代がかかることから、家計の教育費が跳ね上がる。

逆に、公立中学や都道府県立高校の中身がよくなれば教育費のボトルネックが解消され、子供の数は確実に上向く。日本の未来を背負う子供たちにたくさん生まれてもらうには、教育の立て直しが欠かせない。(司)

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http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=2003