17日付毎日新聞が一面で「年金確認、第三者委を廃止」とすっぱ抜いている。

「消えた年金」問題は、2007年に発覚し、民主党が追及し2009年の衆院選で自公政権を野党に追いやった、民主党政権の原点だ。つまり「全件照合」は民主党のメイン公約だ。その全件照合を担っている「年金記録第三者委員会」を13年度以降に廃止し、業務を厚労省に戻すことを政府が検討している、と同紙は伝えている。

同紙によれば、4年半の調査で、持ち主不明の「宙に浮く記録」5095万件のうち、持ち主の記録に統合されたのは1600万件。まだ38%の1948万件が未解明のままだ。

ところが世間の批判が下火となった今、厚労省は表向きは全件照合を続ける姿勢を示しているが、民主党の顔を立てつつアナウンスなき撤収を探っている。その上、第三者委の業務を引き受けることで組織の拡大を狙っているという。

この動きを見れば、厚労省はもともと「全件照合などムリ」と思いつつ、世間の風当たりがやむのを待っていたとしか見えない。

そもそも民主党が政権を獲ったのは、この「消えた年金」問題が沸騰してマスコミも大騒ぎし、自公政権の責任追及をしたことが大きかったのだ。

野田政権は引き続き、「社会保障と税の一体改革」をするつもりで、安住財務相などはG20で「消費税を引き上げる」と国際公約までしてしまった(昨日の本欄参照)。

しかし、日本人が「水に流す」寛容な国民であることをいいことに、「消えた年金」をうやむやにして、公約を裏切り、その上で「年金の財源がないので消費税を上げさせてもらいます」というのは、あまりにも国民を馬鹿にした話だ。

この消費税増税、やはり許すわけにはいかない。(仁)