6月の生活保護の受給者が204万1592人にのぼったことが12日、厚生労働省の発表で分かった。4カ月連続の200万人突破で、5月に比べて約1万人増加した。来月の発表分(7月分)で、過去に最も多かった1951年度の月間平均204万6646人を超えるのは確実とみられる。

生活保護は、その人が持つ資産や能力などすべてを活用しても生活できない人に対して、政府が日常の生活費、住居費、病気の治療費、出産費などについて、健康で文化的な最低限度の生活を送る上で必要な給付を行うものである。

1951(昭和26)年といえば、日本は吉田茂内閣の下で、連合国側とサンフランシスコ平和条約を調印した戦後の混乱期。その頃と同じぐらいの国民が生活保護を受けているのだ。

また、生活保護の受給世帯数は147万9611世帯で過去最多を更新。世帯数を種類別に見ると、「高齢者世帯」が42.7%と最も多いが、2008年のリーマン・ショック以降、働ける年齢層を含む「その他の世帯」の増加傾向が目立っており、今回は16.9%にのぼった。

東日本大震災の影響もあるだろうが、生活保護で暮らす国民が増えている状況は看過できない。個人の自助努力も不可欠だが、ここまで膨れ上がっているなかで、政府の知恵で解決できることはいくらでもあるだろう。

たとえば、自動車産業には関連サービス部門も含め500万人の雇用があるというが、航空・宇宙・国防や海洋開発、ロボットなど日本が強みを持つ産業分野に資金を投入して、新たな基幹産業を創出すれば、1000万人程度の雇用を生み出せる(※)。

こうしたニュースが報じられると、必ず「大企業優遇をやめろ!」「金持ちに税金をかけろ!」という意見が出てくるが、むしろその逆だ。政府は大企業や企業家がもっと活躍できるように規制を撤廃するなど平時以上に応援して、新たに雇用を生み、より一層稼いでもらい、たくさん税金を収めてもらわなければいけない。増税などもってのほかだ。(格)

【参考記事】

2010年4月号 1000 万人の雇用創出計画

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=862