中国が2020年の宇宙ステーション建設を目指し、無人実験機「天宮1号」を打ち上げたことを受けて、中国軍事専門家の平松茂雄氏が10月6日付産経新聞「正論」欄で、「すぐに中国宇宙軍の時代が来る」という論文を書いている。

いつもの「平松中国軍事論」らしく、いかに中国が長期戦略で宇宙軍を構築しているかを指摘している。

「今回の打ち上げには、宇宙ステーションの軍事利用という重大な意図も込められていることを見落としてはならない」

「(1985年の時点で中国は)宇宙ステーションを軍事拠点にすることを前提にしたような宇宙軍の構想を論じていた」

1985年から25年かけて、ようやく軍事用の宇宙ステーションを打ち上げるところまできたというわけだ。中国の狙いは明確だ。

「米軍事力は宇宙経由の情報や指示によって動いているから、軍事衛星を破壊すれば機能不全になる」

中国共産党は60年代の核開発、70年代の核弾頭開発、70年代以降の南シナ海・東シナ海・太平洋進出を経て、2010年代に宇宙空間の支配に手をかけた。これはすべて、中台紛争や朝鮮戦争などで米軍から「核の脅し」を受け、それを克服するために営々と軍事力の強化に取り組んできた結果だ。

かたや日本は未だに中国の軍拡に対して根本的に対処するための議論が起きていない。果たして中国が50年かけて整備してきた軍事力に拮抗する力を日本が持てるのか。日本の政治はまだ「太平の眠り」の中にある。(織)