米ニューヨークのウォール街近くで若者を中心に連日行われているデモ「ウォール街を占拠せよ」(Occupy Wall Street)で1日、ブルックリン橋を不法占拠したとして700人以上が逮捕された。このデモを唱導する反消費文明サイト「Adbusters」には、「世界革命」(global revolution)の文字が見える。

同サイトのトップには現時点でこんな文章が出ている。

「『ウォール街を占拠せよ』は9月17日にアメリカで始まった、民主主義のため人々のパワーを結集する運動であり、ニューヨークの金融街で座り込みを行っています」

「エジプトのタハリール広場における蜂起やスペインの広場キャンプ運動に勇気をもらった私たちは、この国の民主主義の金銭的腐敗を終わらせることを誓います(Inspired by the Egyptian Tahrir Square uprising and the Spanish acampadas, we vow to end the monied corruption of our democracy)。あなたも参加を! 現在17日目です」

http://www.adbusters.org/campaigns/occupywallstreet

3日付英紙フィナンシャル・タイムズは、デモに参加した24歳男性の言葉を載せている。「政府を倒そうとしているわけじゃない。不平等(inequality)の存在と、社会のセーフティーネットが壊れていることに、注目してもらうためなんだ。僕たちの税金で救済された連中が、これまでになく金儲けをしている。銀行やウォール街にも然るべき税金を納めてもらいたい」

9月17日に始まったデモは連日1000人以上が参加しており、ネットを通じてボストンやシカゴなどにも広まっているという。アメリカは建国以来、自由からの経済成功を重んじる国だが、高止まりする失業率の中でウォール街が利益を上げ続けていることに対する怒りが「平等」を求めて噴き出し、「世界革命」が標榜されているところに、アメリカらしからぬ左翼的な匂いも感じられる。

「自由」を求めるアラブの春と「平等」を求めるニューヨークのデモでは背景も狙いも異なるが、ある種の「革命」を求める息吹きが、世界の若者の間で高まりつつあることは確かなようだ。(司)