政府・民主党は、東日本大震災の復興財源に充てる臨時増税について、当初案の11.2兆円から9.2兆円に圧縮する方針を決めた。

増税の対象は、所得税、法人税、個人住民税、たばこ税。

「9兆円の増税」となれば、嫌でも思い出すのが1997年の消費税増税だ。

当時、自民党の橋本政権は、景気は十分に回復したとの考えから、消費税を3%から5%に上げるとともに、所得税の特別減税の廃止と、社会保険料の引き上げとを行い、合計で9兆円の負担が生じた。

その結果、日本経済は一気に不況に突入し、山一証券、三洋証券、北海道拓殖銀行などが次々と破綻するという、恐慌寸前の状態に陥ってしまった。

この97年以来、GDP(国内総生産)は下がりっぱなしになり、日本のデフレ不況のトレンドは決定的になってしまった。

11兆円から9兆円に圧縮したとはいえ、9兆円の負担増はかなり大きい。しかも97年の時と違って、デフレ不況は一層深刻になっている。

97年当時よりも厳しい恐慌的不況に陥る可能性がある。いつか見た悪夢がパワーアップして襲い掛かることになる。

しかも、これは消費税の増税を織り込んでいない負担であり、将来、社会保障の一体改革で消費税のアップも予告していることを考えると、世にも稀な重税国家となってしまうことになる。

政策担当者は、97年の教訓をもう一度学ぶべきであろう。(村)