2011年11月号記事
創刊200号を機にシリーズタイトルを「人生の羅針盤」から「未来への羅針盤」に改めました。個人の人生だけでなく、人類、地球、そして宇宙を未来へ導く羅針盤として、ワールド・ティーチャー(世界教師)大川隆法総裁の質疑応答シリーズをお届けしてまいります。
カトリックの思想を超えて ――フィリピンの発展のために
ワールド・ティーチャーが示す アジアの未来(2)
2011年5月18日、幸福の科学総合本部における質疑応答より
*本稿は英語で行われた質疑応答の日本語訳です。
カトリック、特にフィリピンのカトリックについて質問があります。現在、多くのアジアの国々が経済成長をとげていますが、フィリピンだけは、まだそれほどではありません。その大きな理由の一つとしてカトリックが挙げられており、伝統的なカトリックの考え方は現代社会にそぐわないと言われています。
他のカトリック国、たとえば中南米や南ヨーロッパも同じような状況にあります。そこで、古い伝統的なカトリックの教えを超えて経済的成功と信仰を両立させるためには、どうしたらいいか、ご教示ください。
アダムとイブの原罪より自分の思いと行いに責任を
ローマ・カトリックの問題点として、「人間・罪の子」の思想を強調する傾向があると思います。
原罪(the original sin)の問題は古代にさかのぼりますが、歴史的には、4千年以上前に、イブがサタンであるところの蛇にそそのかされて、智慧の実を食べたことにあります。これが原罪です。
あなたは、この話を信じられますか? 驚くべき話であり、非常に興味深い話ではありますが、世の中の悪について説明できていません。これでは、世界の悪を説明するには十分ではないのです。
なぜアダムとイブが罪をつくったのか、それが事実かどうかも分かりませんが、彼らの罪はあなたには関係ありません。何が言いたいかというと、あなたは、アダムとイブの罪に関して責任はないのです。
あなたが責任を持たなければならないのは、自分自身の考えや行いについてです。もちろん、人には古い時代に生きた過去世があり、カルマと呼ばれる過去の罪もあるかもしれません。しかし、そのカルマでさえ、あなたの心の底から立ち現れて、あなたの思いや言葉、行いに影響を与えるものなのです。このカルマがあなたに働きかけるので、あなたはそのカルマに対して自ら責任を取るべきなのです。このように、あなたがた人間は、まず自分自身の人生に対して責任を取るべきです(should take responsibility for your own life)。
ですから、フィリピンの経済や政治が漂流している理由は、第一に、カトリックの「人間・罪の子」の思想にあると私は思います。
カトリックの教えでは心が自由になれない
二つ目に、伝統的なローマ・カトリックの体制があります。仏教の戒律にも似ていますが、カトリックには禁止事項がたくさんあります。そのため、考え方がどんどん狭くなってしまい、心を自由に解き放つことができないのです。
1944 年10 月、フィリピンのレイテ島に再上陸するダグラス・マッカーサー元帥(中央)。
第二次大戦の刷り込みから脱し日本と友好関係を
第三点として、第二次世界大戦が挙げられます。フィリピンの人々は初め、マッカーサーの米軍が日本帝国軍によって追い出された、みじめな光景を目の当たりにしました。しかしその後、マッカーサー元帥がフィリピンに戻って日本軍を追い出したため、フィリピンは独立の機会を逃してしまいました。
私は、日本人は決して悪人でも悪の軍隊でもなかったと思います。日本人の七割くらいは、アジア諸国の独立を支援したいと考えていました。日本軍の聖なる犠牲のおかげで、インドやマレーシア、シンガポール、その他の国々が独立を果たせたのですが、フィリピンだけがその時期を逃してしまいました。彼らはアメリカが非常に強いのを目にして、「黄色人種は白人より弱いのだ」という意識を刷り込まれてしまいました。これが、文化的な面で悪影響を及ぼしています。
ですから私は、フィリピンの人々が日本人と友好関係を結ぶことを望んでいます。日本人はフィリピンの人々に対して無関心になりがちなので、もう一度、友好関係を結び直し、経済的にも政治的にも発展するよう協力し合うべきです。
2011年5月18日、幸福の科学総合本部にて英語で質疑応答を行う大川隆法総裁。
諸国が力を合わせて中国の拡張主義に対抗すべき
私は、インド、ネパール、フィリピン、オーストラリアの人々が、政治的にも経済的にも日本と友好関係を結ぶべきであると思っていますし、それを望んでいます。そして、中国の拡張主義(expansionism)に対し、力を合わせて抗議しなければなりません。
フィリピンは、危機に瀕していると思います。歴史的に見て、フィリピンは中国からの侵略という危機に直面しています。中国は大国であり、フィリピンはもちろん、中国よりも小さな国です。そしてフィリピンは、アメリカとの友好関係を維持することに失敗しました。まるで、日本における沖縄の普天間問題のようですが、彼らはフィリピンからアメリカ軍を追い出したのです。その後、中国がどんどん侵出してきています。ですから、彼らは現在、もう一度日本やアメリカと手を結ばなければならないと考えています。
私も同じ考えです。私たち日 本とアメリカ、フィリピン、インド、その他のアジア諸国、それからオーストラリアとニュージーランドといった国々は、気をつけなければなりません。中国の悪しき拡張主義の考え方から、自国を守らなければなりません(defend themselves from the evil expansionist thought of China)。
私はワールド・ティーチャーとして、中国に反省を促したいのです。中国を叱りたいのです。しかし、中国は今、非常にプライドが高くなっており、素直に耳を傾けようとしません。彼らは、日本人が中国の経済成長をねたんでいるとしか思っておらず、正義に基づく意見であることを認めようとしません。単なるenvy(ねたみ、嫉妬)だと思っているのです。
したがって日本は、政治的にも経済的にも再出発し、アメリカと協力しながら、いま一度、より大きな力を持たなければならないのです。私はそう思います。アジアやアフリカの人々は私たちの援助を待っていると思いますし、私もそれを望んでいます。