7日で、中国漁船が日本の海上保安庁の巡視船に体当りした尖閣事件から1年が経った。しかし、中国船はこの1年の間にも、断続的に尖閣諸島の接続水域を航行したり、領海侵犯を行うなど挑発を続けている。

海上保安庁のまとめによると、昨年9月7日の尖閣事件発生後、沖縄の尖閣諸島周辺に現れた漁業監視船の数は19隻。昨年11月にはヘリを搭載した最新型のものや、今年8月24日には初めて領海侵犯を行った。これについて日本の外務省が抗議したとき、中国の程大使は「魚釣島、その他の周辺諸島は古くからの中国の領土であり、中国はこれに対して疑いのない主権を持っている」と反論している。

こうした動きに防衛省や自衛隊も危機意識を強める。陸上自衛隊は日本最西端の与那国島に「沿岸監視隊」の配置に向けて動き、海上自衛隊は潜水艦を現状の16隻から22隻態勢への引き上げに着手するなど積極的だ。

だが、問題は民主党政権である。「陸自部隊を南西方面に緊急展開させるための輸送力強化や、水上艦艇の動向などを常時監視できる無人偵察機の導入は宙づりとなっている。昨年12月の『防衛計画の大綱』策定時に結論を出しておくべきテーマだったが、民主党政権は先送りした」(7日付産経新聞)。

同紙は、中国空軍の戦闘機が8月中旬に、東シナ海の日中中間線を越えて、海自の情報収集機を追尾していたことも報じているが、中国の挑発は、国防意識の低い民主党政権が招いた国難の一つと言えるだろう。

中国は今後も新政権の出方をうかがうために、様々な挑発を行うことが予想されるが、そのとき増税で国を衰退させようとする野田首相、「安全保障に関しては素人だが、これが本当のシビリアンコントロール(文民統制)だ」と語る一川防衛相はどう対応するか。中国のみならず、日本国民も注視する必要がある。(格)