党内融和を最優先とした野田内閣。実はこの内閣を全面的に支えるのが、増税の実現に執念を燃やす財務省であることを、3日付朝日新聞が報じている。

今回の組閣に伴う官僚人事は、「財務省人事」と言われるほど財務省の強い影響が及んだ。官僚機構のトップに立つ官房副長官(事務)に、竹歳誠・国土交通事務次官が起用されたが、竹歳氏は、財務省の大物事務次官である勝栄二郎氏と親しく、霞が関ではこの人事を画策したのは財務省とみられている。

また、財務省は、官邸にも首相秘書官として太田充・主計局次長を送り込むなど全面支援。野田首相も、消費増税と社会保障の一体改革を仕切る経済財政相に財務省OBの古川元久氏を起用したため、財務相を「安心して軽量級大臣にした」(民主党の中間派議員)とささやかれている。

振り返れば、野田首相は2009年夏の政権交代以降、鳩山政権で財務省副大臣、菅政権で財務大臣を務めてきた。今回の民主党代表選でも増税の必要性を強調し、財務官僚の間では極めて評価が高いが、その一方で民主党内からさえ、「財務省の組織内候補」と陰口をたたかれた。

財務省が野田首相を全面的にバックアップする理由はただ一つ、「増税の実現」である。

2日の就任会見で、野田首相は「私は決して財政原理主義者ではない」と言ってみせたが、民主党政権が「脱官僚」「政治主導」を強調しすぎたために官僚がサボタージュして政治が停滞した痛みを、野田首相は肌で感じているはずだ。

しかし、本来、官僚が動くか否かは二の次で、大事なのはその政策が国民を幸せにするか否かである。この点において、復興増税も消費増税も国民を不幸にする。野田首相が財務省のあやつり人形になるようなら、早い段階で解散・総選挙を打ったほうが「悪」を犯さずに済むだろう。(格)

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