南シナ海の領有権問題で中国とぶつかっている小国ベトナムが、国の存亡をかけて米国、ロシア、インドなどの大国と緊密なつながりを持とうと躍起になっている状況を、31日付産経新聞が報じている。

記事によると、7月には米艦船3隻が、ベトナム沖で米越合同演習に参加。中国初の空母「ワリャーグ」が試験航行に出た3日後の8月13日には、米空母「ジョージ・ワシントン」がベトナム沖に来航し、ベトナム政府や軍関係者がジョージ・ワシントンを視察するなど連携を強化している。

だが一方で、米国は、問題の核心である南シナ海の領有問題については中立を貫く立場を崩さない。それは、米国の国内経済の立て直しには中国の支えが欠かせないためだ。つまり、米国は、牽制しつつも表面的には中国と仲良くしなければいけないのである。

こうした状況の中、ベトナムは旧ソ連時代からつながりの深いロシアとも密接な関係を築いており、7月にはロシアに発注した2隻目のフリゲート艦が、ベトナムのカムラン湾に到着。この他にも、キロ級潜水艦6隻やスホイ30戦闘機など、積極的にロシアから兵器を購入している。

加えて、ベトナムは最近、インドにも急接近。5月にインド海軍の駆逐艦など2隻がホーチミン市に寄港し、6月にはベトナムの国防次官がインドを訪れ、7月にもインド海軍の揚陸艦がカムラン湾の近くを訪問している。

ベトナムは、米国だけに頼るのではなくロシアやインドとも積極的につながりを持とうと努めるが、その国々との協力関係がなければ、すぐにでも中国の属国になるという危機感が、そうさせているのだろう。

翻って、日本はどうか。

民主党政権は、唯一の軍事同盟である日米同盟をも危うくしているが、空母を持った中国が、今後、日本を威圧するのは火を見るより明らかだ。日本も、世界の秩序がパワー・バランスで成り立っているという現実を受け止め、日米同盟・国防力の強化や憲法改正議論などを早急に進めなければならない。(格)