2011年度の大阪府の高校入試で府が独自で実施した「私立高校の無償化枠拡大」によって、私立高校の募集人員2万1300人の枠に2万4540人が殺到した。その結果、公立高校での定員割れが続出した。27日付の大阪日日新聞が報じている。

私立高校の無償化枠は、2010年度にスタートし、年収350万円未満の世帯の私立授業料を無償とした。今年度はこれを拡大し、610万円未満を無償とするなどした。

この余波を受けたのが公立高校で、大量に私立高校に生徒が流れたというわけだ。公立側からは定員を超える入学者数についてルール作りが提案されたが、私立側は「公立は生徒が行きたいと感じる学校づくりを怠ってきた」と突っぱねた。

高校無償化についての是非はあるものの、大阪府の私立無償化の取り組みは実質的に、生徒や父兄が公立と私立を選択しやすくなる「バウチャー制度」として機能している。

同じ日に今年4月に府独自で実施した「大阪学力テスト」(公私立小中学校対象)の結果が公表されたが、平均正答率が小中学校とも約14ポイントも私立が公立を上回った。

学校や教師の努力に目を向けることなく、「私立はずるい」とばかりに批判する公立学校に、保護者も子供たちも魅力を感じられないのは、当たり前のことなのかもしれない。〈宮〉