こんなセンセーショナルな見出しが25日付東京新聞1面に載った。

政府試算によると、福島第一原発が大気中に放出したセシウムの量と、広島原爆とを比較したところによると、広島原爆168個分に相当するという。

東京新聞は23面でも解説を載せ、政府側の「単純に比較するのは合理的ではない」との見解も載せているが、見出しで大きく「毒性残留期間、原爆より長い」と打っている。この記事を見れば、今回の放射能の恐怖は原爆よりずっと怖いという印象を与えるのは明らかだ。

だが一方で、「大検証・セシウムではガンにならない」という記事を掲載している週刊誌もある。

チェルノブイリ事故の調査団の一員だった長瀧重信・長崎大学名誉教授の話として、12万人のセシウム内部被爆した子供を診察した結果、376人の子供が体重1キロあたり500ベクレル以上という、「凄まじい量の放射線に汚染された」が、25年が経過した現在も、「セシウムによる健康被害は何もない」というのだ。

それはなぜかというと、セシウムは尿でどんどん体外に排出されるから。子供の場合は新陳代謝が速く、10日間で身体のおよそ半分が入れ替わるという。

すでに弊誌8月号でも、高田純・札幌医大教授の調査結果を掲載し、「福島にはもう放射性ヨウ素は存在しない。セシウムも半減期が30年と言われていますが、体内では100日で半減します。だからセシウムも一時的なものなのです」という話を載せている。

同じセシウムでも、報道の角度でまったく逆の印象を与える。いたずらに恐怖を煽るような記事は、いいかげんにしてほしいものだ。(仁)