北海道電力の泊原発3号機が17日、営業運転に移行した。震災後に、定期検査中の原発が営業運転に移行するのは全国で初めて。

全国の原発は13カ月ごとに定期検査を行うが、営業運転再開までは、「定期検査で運転を停止」→「再起動」→「調整運転」→「検査終了」→「営業運転」という手順を踏む。

泊原発3号機は、震災直前の3月7日から調整運転に入ったが、11日に発生した震災の混乱の中で、原子力安全・保安院からの「検査終了」が下りないまま、5カ月以上が経過していた。

地元北海道では営業運転への移行をめぐって道議会が紛糾していたが、17日、高橋はるみ知事が営業運転への移行容認を正式に表明。この日の午後、保安院が北海道電力に3号機の定期検査の終了証を交付したことで営業運転に移行した。ただ、調整運転の段階ですでに発電は開始されているため、営業運転に移行したからといって実質的な変化はない。

これで泊原発3号機を含め、現在稼働している原発は全国54基のうち15基となった。しかし、菅首相が、原発再稼働のためにストレス・テストという新たなハードルを設けたため、今後、全国で定期検査を終了した原発の再稼働が進むかどうかは分からない。泊原発3号機が再び定期検査に入る来年5月には、54基すべてが止まる可能性もある。

ポスト菅レースに注目が集まっているが、「原発を積極的に動かす」と明言している人物はいない。しかし、次に首相に就任する人物が、真剣に日本という国家を運営し、発展させようと考えるならば、菅首相が広げた「脱原発」からの脱却が不可欠だ。危機の時代に、日本の政治を「調整運転」しているゆとりはない。(格)