菅直人首相の退陣3条件が整い、次期首相を選ぶ民主党代表選が本格的に動き出した。

今のところ、野田佳彦財務相、馬淵澄夫前国交相、海江田万里経産相、樽床伸二元国対委員長、小沢鋭仁元環境相が出馬の意向。

やはり最大の焦点は、「増税」か「増税反対」かということになる。

明確な増税派は野田氏のみ。野田氏は財務相として、復興増税について所得税納税額の10%もしくは5%の上乗せを検討している。消費税については2015年代半ばまでに10%に上げる案をまとめた。

擁立する動きのある鹿野道彦農水相もやや賛成派寄りではある。

他の顔ぶれは基本的に増税反対だ。特に馬淵氏は、いま増税すれば「瀕死の重傷のこの国の負担になる」と主張。海江田氏も信条としては増税反対だろうが、復興増税を導入しようとしている現職閣僚としての縛りがある。

代表選のキーマンは、強制起訴された裁判で無罪の可能性が出てきた小沢一郎元代表だ。増税反対派のうち最大勢力は小沢氏のグループで、小沢氏が誰を推すかが代表選の行方を左右する。

日本経済を底割れさせないために民主党には「増税反対」に舵を切ってもらいたいが、それを主導する人物が小沢氏というのがいかにも生臭い。

もう一人のキーマンは前原誠司前外相。前原氏は「増税するとよりデフレの病気が悪化する。デフレを脱却し、安定した経済成長に移るまで増税すべきではない」と極めて真っ当な現状認識をしている。

前原氏が野田氏に正面から政策論争を挑むならば、「次の首相は何をすべきか」を争う意義のある代表選になるだろう。(織)