軍事独裁のミャンマー(旧ビルマ)から、経済成長が続くタイに、約300万人の労働移民が流れている現状を、7日付読売新聞が報じている。
記事によると、ミャンマーと国境を接するタイ北西部の町メソトの難民キャンプには14万人以上のミャンマー人がいる。そのキャンプにさえ入れなかった人々は、メソト郊外の高さ数十メートルにも及ぶゴミ山の周辺に、粗末な掘っ立て小屋を建てて住みついているが、辺りには腐った生ゴミとドブの強烈な臭いが漂うという。
少数民族カレン族の男性は、ミャンマーからタイに逃げてきた理由をこう語る。
ミャンマー軍は、軍政に反抗する武装勢力が埋めた地雷原の上を、兵士より先に一般人に歩かせる。これを「ポーター」と呼ぶが、そのポーターにされることを嫌って逃げてきた。腐臭漂う環境にも、「ミャンマーで住んでいた所よりも環境は良い」という。
同地域の様子は弊誌2010年6月号でも紹介したが、人々が逃げ出す国より、人々が集まってくる国のほうが、いい国であることは間違いない。また、同年10月号では、ミャンマーの軍政が「核開発」に重点を置き、北朝鮮の協力を得てミャンマー全土に大規模な秘密地下トンネル、地下壕をはりめぐらせている現状をレポートした。
ミャンマーは、軍事的にも経済的にも中国から援助を受けているが、軍事独裁のミャンマー、中国、北朝鮮などの国々が世界をリードする未来は好ましくない。南シナ海の領有権問題でもにらみ合いが続くが、日本は今後も、アメリカや韓国、タイやフィリピンなどの民主国家と協力して、ミャンマーや中国などに民主化を促し続ける必要がある。(格)
【参考記事】
2010年6月号 制裁の現実
< http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=843 >
2010年10月号 北朝鮮化するビルマ