韓国がベトナムの原子力発電所の建設受注に官民挙げて取り組んでいる。

ベトナムの原発は、昨年10月に菅首相がベトナムを訪問し、首脳会談で受注の合意に至っていた。しかし、一方で韓国の李明博大統領が5月下旬に原発に対する協力を推進する旨の親書を渡していたことが26日に明らかになった。27日付産経新聞で報じている。

日本は横槍を入れられた形だが、ベトナム側も韓国に使節団を派遣するなど前向きの姿勢を示しているという。

また、トルコとの交渉でも、震災後に交渉が進展しないことに不満を募らせたトルコ側が日本との優先交渉を月内に打ち切る意向を示している。

菅首相の「脱原発」表明によって、原発受注競争における「日本外し」が一気に加速したわけだ。

国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は27日に行われた長野県の講演で「福島第一(原子力発電所事故)にもかかわらず、原子力の世界的な利用はこれから数十年間にわたって増え続け、多くの国にとって重要な選択肢のまま残る」と述べている。

世界でも最も優れた実力を持っていた日本の原子力産業は、このままいくと国際競争で完全に脱落することになる。逆に、フランス、アメリカ、韓国といったライバル国は、菅首相の脱原発宣言は、願ってもないチャンスとなる。

日本の国民は“貧乏神”を一国のリーダーに選んでしまったことを反省する必要がある。(村)