共産党創設90周年を迎えた中国では、党を称える映画が優先的に上映されているため、世界でヒット中の「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」がいまだに上映されず、ネットなどで不満の声が上がっていると、21日付の東京新聞が報じている。
ハリポタを押しのけて上映されているのは、若き日の毛沢東や周恩来の活躍を描いた「建党偉業」。党の肝入りで制作された映画で、若手イケメン俳優やベテラン俳優など100人近いスターが競演する。中東で広がる民主化運動が中国に波及することを防ぐために、若者世代を中心に「愛党教育」を狙った作品だ。
記事によると、ハリポタは日本やアメリカなどでは7月中旬に封切られたが、中国では20日遅れの8月4日公開予定。ネット上では、「党の宣伝映画などうんざり。ハリー・ポッターを早く見せろ」「職場で建党偉業を鑑賞させられたが、苦痛だった」などの書き込みが相次いでいる。
また、建党偉業の人気がいまひとつのため、映画館側が観客数を水増しするために、建党偉業の入場券を販売した上で別の映画を見せているところもあるという。
5月に本欄でも紹介したが、中国共産党の“思想統制”はテレビでも行われており、党の功績を宣伝するために放映すべき40作品を推奨して、他の娯楽作品を延期するよう通知しているという。
「ハリポタ見せろ!」の声を一笑に付すのは簡単だが、この出来事は、政府が国民の自由を容易に踏みにじる共産主義国家の恐さを教えている。(格)
【本欄参考記事】
5月12日 中国で共産党の「愛党」映画・ドラマが続々