国連は20日、アフリカ東部のソマリア南部2州で大規模な飢饉が発生していると発表した。
ソマリアではここ数ヶ月間に数万人が餓死した可能性があるほか、人口の半数にあたる370万人が栄養失調の危機に瀕している。60年ぶりの大干ばつが発生しているアフリカ東部では、2年以上降水のないところもあり、千百万人以上が人道支援の必要な状態にあるという。
国連は向こう2カ月間に3億ドルの援助が必要との見通しを示したが、「失敗国家」ソマリアの情勢が、各国を援助に対し及び腰にしている。
1980年代から反政府武装組織との内戦が激化したソマリアでは、1991年に中央政府が崩壊し、軍閥が群雄割拠する無政府状態となった。2000年に各国の仲介で暫定政府が発足してからも内戦は続き、南部を基盤とした武装組織アル・シャハブに対して、暫定政府は首都モガディシュの一部を支配するにとどまっている。特に飢饉が深刻な南部では280万人が栄養失調の危機にあるとみられるが、援助した食糧が本当に必要な人々に行き渡る保証はなく、武装組織を利する恐れすらある。
未開発地や未耕作地の多いアフリカは経済成長のポテンシャルに溢れており、周辺のケニアやエチオピアは高成長を続けている。その中にあって、飢饉の上に人道援助の資金も足りない今回の事態は、ソマリア問題の本質がその無政府状態にあることを、改めてあぶり出した。一時的な食糧支援だけでなく、ソマリアが「失敗国家」から脱出するための長期的な取り組みが求められている。