世界的メディア王ルパート・マードックの傘下にあり、168年の歴史を持つ英紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」が今月10日で廃刊を決めた。日本でいえばある種の週刊誌に近い同紙が廃刊に追い込まれた事情は、メディアとスポンサーのあり方について考えさせられるものがある。

8日付英紙フィナンシャル・タイムズによれば、「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」はセックスがらみのスキャンダルや大衆迎合的な追及記事(populist campaigns)が中心の大衆日曜紙。日本でいえば「カネと女と権力」で食っている週刊誌に近いメディアだろう。同紙は以前からセレブ、政治家、英王室などの電話を盗聴して問題になり、今回は殺人事件の被害者となった女子学生の留守電を盗聴していた。また以前から、情報入手と引き換えに警察に多額の金を違法に払ってきた。

今年1月には複数の有名人が同紙に対して訴えを起こし、同紙の幹部が処分に追い込まれたことなどから読者離れが進んだ。さらにはダーティーなイメージを嫌って広告主が離れたことから、発行元が廃刊を決めたもの。

このケースは、日本のメディアと広告主の関係についての教訓を含んでいる。たとえば昨日の本欄で伝えた通り、「週刊新潮」は多くの個人や団体への誹謗中傷記事を繰り返し、裁判でしばしば慰謝料支払いを命じられているが、同誌の最新号にはJR東日本、NTT東日本、花王といった大企業が広告を出している。これらの大企業が、司法によって繰り返し悪と判断された「週刊新潮」を金銭的に支えることは、企業としての社会的責任に反しないのか。

テレビや新聞、雑誌は、収入のかなりの部分を広告収入に頼っている。悪質な報道で社会に害を流すメディアは、企業イメージが傷つくことや消費者の不買運動が起きることを怖れてスポンサー企業が手を引き、広告収入を失って淘汰されることが正義にかなうはずだ。そのためには消費者側も、悪質メディアを支えるスポンサーの存在に目を光らせる必要がある。(司)