自民党の麻生太郎元首相が26日、愛媛県内で講演し、原発問題などで極めて真っ当な主張を展開している。以下はポイント。
- 原子力発電を太陽光発電で代替した場合、設備稼働率の違いなどから電気料金は原発の10倍に跳ね上がる。
- 原発をやめれば、工場は海外に流出し、失業者が増えるが、その失業保険は誰が払うのか。
- 政府が今やるべきは財政再建ではなく、復興が緒につくまでの財政出動だ。港湾や道路などの社会資本の充実などに支出すれば、国内総生産2~3%成長も可能。
一つひとつもっともな意見だろう。
日本エネルギー経済研究所は、地元の反対などで全国の原発54基がすべて運転停止した場合、来年度には電気料金が18%(月額1000円)上昇すると試算している。火力発電のための石油などの調達に約3兆5千億円が新たに必要となるためだ。
菅首相がぶち上げた「脱原発」と太陽光発電など自然エネルギーによる代替が実現すれば、電気料金は何倍にも跳ね上がる。
火力発電と原子力発電が中心の現時点でも、日本の電気料金(15.8円/1キロワット時=kwh)は、アメリカ(6.8円/kwh)の2倍、韓国(5.8円/kwh)の3倍ある。
菅首相はここにきて「再生可能エネルギー固定価格買い取り法案」の成立にこだわっているが、工場や家庭の太陽光発電による電力を1kwh当たり30~40円台で買い取ろうというものだ。
となれば、日本の電気料金は倍増しかねない。そうなれば、アメリカ、韓国の4~6倍にもなり得る。もはや国内では、製造業は成り立たないレベルだ。
麻生元首相の主張は極めて常識的。民主党への政権交代は何だったのかと思わざるを得ない。なぜマスコミはあれほどまでに麻生元首相に悪し様にののしり、引きずり下ろしたのか。マスコミの罪は重い。(織)