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中国軍機がこのほど、自衛隊機に対する危険なレーダー照射を行い、物議を醸しています。

《詳細》

事の発端は、中国軍が5日に空母「遼寧」を東シナ海に派遣したことです。翌6日には、空母とミサイル駆逐艦が沖縄本島と宮古島の間を進んで太平洋に進出し、日本の排他的経済水域(EEZ)内で、空母から戦闘機を発着艦させる訓練を50回に及び実行。航空自衛隊はF15戦闘機を沖縄・那覇基地から緊急発進(スクランブル)させました。

それに対し、中国軍機が空自の戦闘機に断続的にレーダー照射を実行しました。1度目は3分ほどでしたが、2回目は30分以上に及んだといいます。

中国側は7日、日本側の批判を受け、照射した事実には触れず、「自衛隊機が海軍の訓練海空域に複数回接近して妨害し、飛行の安全を重大に脅かした」と一方的に主張しました。

その後8日には、「訓練中の『捜索用』レーダーを作動させるのは正常な操作だ」と説明。使用したのは、攻撃目標を定める「火器管制用」ではないとし、自国の行動を正当化しています。しかし、捜索用レーダーは「広範囲」に飛ばす一方、火器管制レーダーは「線」で相手を捉えます。防衛省が「捜索用なら断続的に行われる必要はない」と指摘しているように、断続的に照射している場合には、火器管制レーダーだったと見るのが一般的です。

さらに9日には、「中国軍は訓練実施を海上自衛隊に事前通告していた」と主張し、中国国営メディアが、「日中艦艇同士の無線のやりとり」とされる音声を公開。中国軍機も空自機からの「レーダーを感知した」と報じました。

一連の流れを受けて、小泉進次郎防衛大臣は10日に会見を開き、次の4点を挙げて再反論しています。

「訓練飛行を開始する旨の通告があり、日本も応答したのは事実だが、空母『遼寧』の艦載機がどのような空域において訓練を行うのかという具体的な情報はなく、訓練に関するノータム(航空情報)や航行警報が事前に通報されていたという事実もない」「自衛隊のスクランブル発進は、対領空侵犯措置であり、適切かつ必要な活動」「自衛隊機が中国軍機にレーダーを使用した事実はない」「問題の本質は、日本が対領空侵犯措置を行う中において、中国側が30分にわたりレーダー照射を行ったこと」

なお、中国のレーダー照射をめぐっては、アメリカも「中国の行動は地域の平和と安定に寄与するものではない」「同盟国の日本に対する米国の関与は揺るぎない」と批判。台湾の頼清徳総統も、中国の演習は「非常に不適切な行動」だと述べています。

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