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アメリカとベネズエラの軍事的緊張が、かつてないほど高まっています。

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トランプ米政権は9月以降、「麻薬と不法移民の大量流入」を名目にして、ベネズエラへの軍事的圧力を強めています。米軍はこれまでにベネズエラの「麻薬密売船」に対し、少なくとも21回攻撃を実施し、83人を殺害しました。

さらに、カリブ海周辺に原子力潜水艦やF-35戦闘機を派遣し、11月16日には世界最大規模の原子力空母「ジェラルド・フォード」を展開。一帯に集結している米兵の総数は約1万5000人に及び、20日には、戦略爆撃機も投入した攻撃演習を行いました。1962年のキューバ危機以来の過去最大規模の示威行為を実施しています。

トランプ大統領は、地上軍投入も排除しない考えを明らかにしており、米ワシントン・ポスト紙は、地上軍を投入する場合、ベネズエラ軍事基地と麻薬生産基地が標的になるとの見方を示しています。

米政府高官は22日、トランプ政権は数日以内にベネズエラ作戦の新たな段階を始める準備ができており、検討中の選択肢にはベネズエラの「ニコラス・マドゥロ政権の打倒」も含まれていると述べています(23日付ロイター通信)。

米政府は24日には、マドゥロ政権が率いているとする麻薬密売組織「カルテル・デ・ロス・ソレス」を外国テロ組織に指定しました。これにより、同政権への攻撃を、「国家」ではなく「テロ組織」への攻撃として分類することで、議会の承認がなくともマドゥロ政権の排除に踏み切ることができるとしています。

トランプ氏が反米急進左派であるマドゥロ政権への圧力を強める中、米国内外から「麻薬対策としてはやりすぎなのでは」といった疑念の声も出ています。しかし、より大きな視点で見ると、トランプ氏の行動が理に適っていることが分かります。

トランプ政権のベネズエラへの関与の目的は、単に「麻薬や不法移民の対策」にとどまらず、「反米勢力」の拡大を阻止することで、世界の分断に歯止めをかけるという戦略的意義があると思われます。

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