澁谷 司

アジア太平洋交流学会会長・目白大学大学院講師

澁谷 司

(しぶや・つかさ)1953年、東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。東京外国語大学大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学などで非常勤講師を歴任。2004年夏~05年夏にかけて台湾の明道管理学院(現・明道大学)で教鞭をとる。11年4月~14年3月まで拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。20年3月まで、拓殖大学海外事情研究所教授。著書に『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界)、『2017年から始まる! 「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)など。

中国のGDP(国内総生産)に関して、世界中のエコノミストはさまざまな疑問を抱いているが、われわれも再考しよう。

「マイナス5.1%」なのに堂々と「プラス4.2%」と発表

まず、近年、GDPで最も重要な固定資産投資(以下、投資)について見てみたい。

国家統計局の発表している、例えば「1-2月期」の投資額を取り出して、その前年同期比を計算すると、「2019年が+0.5%」「20年が-25.7%」「21年が+35.8%」「22年が+12.2%」「23年が+5.5%」「24年が-5.1%」「25年が+3.5%」となる。

ところで国家統計局は毎年の「1-2月期」の投資を発表する際に、"公式"の前年同期比を発表している。それによれば、「19年が+6.1%」、「20年が-24.5%」、「21年が+35%」、「22年が+12.2%」、「23年が+5.5%」、「24年が+4.2%」、「25年が+4.1%」である。

両者を比較すると(図表1)かなりの乖離があることが分かるだろう。

例えば19年は、前年同期比で本当は+0.1%だが、国家統計局は+6.1%とさばを読んでいる。

24年に至っては異常で、計算すると-5.1%なのに、国家統計局は+4.2%と発表している。発表された投資額を見ても明らかに激減しており、これを4%も増加したと主張するのは、もちろん誤差や調整などでも説明ができない。

(図表1)

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