《ニュース》
コメ価格の高騰で農政が注目を集まる中、各種世論調査で議席増が予想されている参政党は、「有機農業を推進し、農家の公務員化などで食料自給率100%」を掲げています。しかし、多くの人々から「現実的な政策ではない」との批判が巻き起こっています。
《詳細》
参政党は参院選の公約として、「事実上継続している減反政策を転換し、コメの増産や輸出を奨励して、生産性を向上させる」「化学肥料や農薬などを使わない有機農業に順次切り替える」「輸入農作物から国産品を守るため、適正な関税を課す」「第一次産業の担い手の公務員化を進める」ことなどを訴え、10兆円規模の予算を投じて(全額国債発行?)、2050年には食料自給率(カロリーベース)100%を目指すとしています。
自公政権は農業分野の「脱炭素」を進めるため、有機農業を推進してきました(50年までに有機農業の耕地面積を25%にする目標)。これに対して参政党は脱炭素としてではなく、「学校給食での有機食材の義務化などで、目標達成を15年前倒す」と主張しています。しかし、20年の有機農業の耕地面積は「たったの0.6%」に過ぎず、10年で0.2%しか増えていないため、すでに達成は不可能と見られています。
食料自給率(カロリーベース)が低くなった大きな要因は「食生活の多様化」にあり、消費者が安くて豊かな食を求めた結果です。極端な話として自給率を高めるには、市場原理を無視して、消費者の選択肢を狭め、豊かな食生活を諦めれば、すぐにでも実現することは可能です。
そのため、豊かな食生活を手頃な価格で維持しながら、自給率も上げていくには、「狭い国土で限られた資源である農地をいかに有効活用(生産性)するか」という経済合理性にかかっています。この農地の生産性を高める手段として、これまで農薬などが使用されてきただけに、有機農業への転換を急げば、気候や虫害などの影響を受けやすくなり、収穫量が急減して、今以上の物価高騰が起きる恐れがあります。
有機農業への完全移行に動いたスリランカは、21年に化学肥料や除草剤の使用などを全面的に禁止し、農業に壊滅的なダメージをもたらしたことが、政府破綻の元凶にもなりました。
《どう見るか》







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