全国公開中

《本記事のポイント》

  • 過酷な運命を跳ね返す信念の力
  • 病などの苦難を言い訳にしない
  • 父親から注がれた愛の尊さ

幼い頃からピアノに情熱を注いできた双子の姉妹クレールとジャンヌは、名門カールスルーエ音楽院に入学する。それぞれソリストを目指し、今後のキャリアを左右するコンサートのオーディションに向けて練習に励む日々を送っていた。

しかし、ある日2人は自分たちの両手が徐々に不自由になってしまう遺伝性の難病に冒されていることを知る。最悪の事態に直面するなかで、改めてピアノへのかけがえのない思いに気づいた2人は、家族に支えられながら、夢を掴みとるべく唯一無二の演奏方法を生みだす。

実在するフランスの双子ピアニスト、プレネ姉妹がモデルで、「コーダ あいのうた」のフィリップ・ルスレが製作を手がけ、親子監督フレデリック&バランタン・ポティエが長編初メガホンをとった。

過酷な運命を跳ね返す信念の力

この映画の見所は、将来を嘱望された双子の姉妹ピアニストが、遺伝性の病によってその道を絶たれ、絶望に突き落とされながらも、力を合わせて運命を跳ね返していく、その努力と勇気ある立ち直りの姿である。

手首の骨が弱くなり、「趣味程度にしかピアノは弾けない」と医師から宣告されたものの、幼い頃からピアノの上達に鍛錬に鍛錬を続けてきた2人の思いは止み難い。レッスンから離れ、腕にギブスをはめ、劇場の案内係などのアルバイトをしながらも、心は常にピアノの方へと向いていく。そしてついに2人は、力を合わせて、ピアニストへ再チャレンジする道を見出す。

それはなんと、1つの曲を2人で分担して弾くことによって、腕の負担を減らすという方法である。息が合わなければ楽曲として体をなさないのだが、双子の姉妹の心は成功に向けて完璧に重なり合う。

絶望的な状況を奇想天外な方法によって乗り越えた姉妹は、その後、数多くのリサイタルをこなし、日本にも東日本大震災のチャリティーコンサートのために来日したのだという。

こうした苦難をものともしない生き方の大切さについて、大川隆法・幸福の科学総裁は著書『不動心』の中で次のように指摘している。

結局、日を再び昇らせるための方法は、夜というものをあまりつかみすぎないことです。『夜は去っていくものだ』ということを知らなくてはなりません。

すなわち、自分を憐れむ気持ちと早く訣別しなければいけないのです。『この世から捨てられたような自分』という考えを、早く捨てなければいけません。

『自分も素晴らしい仏の子なのだ』という自覚を持ち、その自覚に支えられて生きていくこと、とにかく前に進んでいくことが大切です

来日した際にも、姉妹は被災者を勇気づけることに心を砕いていた。聴く人の夢や希望になるためにも、"再起するしかない"という信念が姉妹を絶望の淵から救い上げたと言えるだろう。

病などの苦難を言い訳にしない

映画では、医者からプロのピアニストとしての道を断念することを宣告された姉妹が、その診断に抗って、新しい演奏法を編み出すプロセスが丹念に描かれている。

手首に負担をかけないように、しなやかに腕を上下に動かしながら、ソフトタッチで鍵盤を叩いていくのである。その蝶が舞うような美しい演奏スタイルは、彼女たちが病苦をものともせず、工夫に工夫を重ねることで作り上げられたものだ。

医者の診断を"真に受けない"ことの意義について、大川隆法総裁は著書『病の時に読む言葉』の中で「医者は、病状の悪さを言う習慣がある。『心配してくれているのだ。』と思おう」と指摘している。そして、「もし、健康が回復したら、どんなことができるか、空想してみよう」と勧めている。

また同書では、「病気とは、魂の休息日である」とも指摘されている。姉妹は、コンクールでトップになることに血道を上げてきた。そうした他人から抜きん出る競争的な生き方を振り返るための自己省察の時間が2人には必要だったのだ。

音楽とは、聴く人々にとっての"癒し"でもある。姉妹が音楽を"愛の実践行為"として捉え直すためにも、ある種の"恵み"として病という試練が与えられたのだろう。

父親から注がれた愛の尊さ

また、この映画では、姉妹を幼い頃から鍛えあげてきた父親の役割にも焦点が当てられている。

父親のセルジュは、幼い姉妹を一流のピアニストにするべく、仕事を辞め、潜水選手としてのキャリアも断念して、平日は自宅の地下室に作ったピアノの練習場に姉妹を閉じ込め、休日はコンサートの鑑賞にと、彼女たちを鍛えに鍛えたのだ。

そこまでして鍛えあげられたピアニストへの道が、突如絶たれたときに、姉妹は父をなじった。「お父さんは、私たちを道具としてしか見ていない。やりたい事は何一つさせてもらえもらえなかった」と、父親を責め非難する。

その時、父・セルジュは、「お前たちは、生まれた時から私の"宝物"だったんだ」と痛切に声を絞り出すシーンは胸を打つ。

大川隆法総裁は「親子の縁」と題された詩篇の中で、親子の役割についてこう語っている。

親子の縁に偶然はない。

必ずこの親のところへと思い、必ずこの子を産もうと、約束をしてくる。

しかし、いったんこの世の無常の風に吹かれると、何もかも忘れてしまう。

《中略》

親も子も百点ではなく、学びのための教材をたくさん持ったまま生きているのだ。

不便さ、不自由さ、貧しさの中から、努力することの尊さを学べ。

足るを知る中にも、心の平安を学べ。

与えられたものの中に、黄金の輝きを発見せよ。

(『心の指針Selection 5 心から愛していると…』より)

彼女たちが再起するために発揮した不屈の闘志と忍耐力こそ、父から学んだ最大の力だった。

病を乗り越えて、人々に夢や希望を与えるのが、彼女たちの人生計画だったのだろう。そのための良き同伴者として、彼女たちを支え励ましていくべく、峻厳な父親の役割をセルジュが引き受けたとも言えそうだ。

病という困難を乗り越え、世界中の人々に、夢や希望を与えたピアニスト姉妹の再起と成功を描いた本映画は、あらゆる苦難や言い訳を排して、天命に打ち込むことの尊さを改めて教えてくれる。

 

『デュオ 1/2のピアニスト』

【公開日】
全国公開中
【スタッフ】
監督:フレデリック・ポティエ バランタン・ポティエ
【キャスト】
出演:カミーユ・ラザ、メラニー・ロベールほか
【配給等】
配給:シンカ、フラッグ
【その他】
2024年製作 | 109分 | フランス

公式サイト https://www.flag-pictures.co.jp/duo-pianist/

【関連書籍】

心の指針Selection 5 心から愛していると…

『心の指針Selection 5 心から愛していると…』

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いずれも 大川隆法著 幸福の科学出版