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トランプ米大統領は20日(現地時間)、教育省の規模を大幅に縮小する大統領令に署名し、「権限を州に戻す」と意気込みました。
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教育省は教育省組織法によって設置されており、廃止するには法改正が必要不可欠です。しかしそれを行うには、上院で民主党から少なくとも7票を得て、60票の賛成票が要ります。実現へのハードルが高いために、今回、大統領選の公約通りに権限を大胆に縮小することで、「実質的に解体」することを目指しているとみられています。
トランプ氏から「連邦政府の教育官僚が機能していない」と批判されている教育省は、大学進学者らに向けた学生ローンなどを担っています。しかし、同省はこれまでローンを借りやすくしてきたことで、多くの学生と社会人が奨学金の返済に苦しみ、大学側もローンを借りることを見越して、学費を高騰させた問題が取り沙汰されてきました。教育省が担うローンの債務残高は、1兆6000億ドル(約238兆円)にも上ります。
米ギャラップ社の世論調査によれば、アメリカ人の教育に対する満足度も、ここ10年で大幅に低下し、「教育不信」が吹き荒れています。1月の調査では、教育の質に満足していると考えるアメリカ人はわずか24%に過ぎません。
しかし、バイデン前政権は、学力の向上とは無関係である「多様性・公平性・包括性(DEI)」事業を推進し、将来の民主党支持者を"培養"しつつ、教育政策の重視を打ち出すことで、同党の支持基盤である教職員の労働組合にも「いい顔」をしていました。
トランプ氏は大統領令を署名した際に、「何の役にも立っていない」「できるだけ早く閉鎖するつもりだ」などと強調。「教育を本来あるべき州に戻す」と述べ、省庁の機能を縮小する代わりに、州や地方の教育委員会がより多くの役割を担うようにするとの考えを示しました。
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