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デジタル教科書をいち早く導入したフィンランドは、「紙の教科書」に戻すことでいったん低下した学力の回復を目指しています。18日付読売新聞は、生徒、保護者、教員が紙への回帰を歓迎する様子を伝えました。

《詳細》

フィンランドでは1990年代から教育にデジタルを導入し、情報通信技術(ICT)を利用した教育では世界最先端を進んでいました。2000年に始まった国際学習到達度調査(PISA)では読解力世界一、その後、数学的応用力や科学的応用力でも世界トップレベルで、フィンランドの教育は世界の注目を集めてきました。

10年ほど前から生徒にノートパソコンが配られるようになり、デジタル教科書や教材を数多く使われてきましたが、2022年のPISAの順位は読解力が14位まで落ちるなど、学力低下が著しい状況となりました。そこでフィンランドは2023年、教科書を紙に戻し、鉛筆やペンを使う方向へと方針転換することを決めました。

18日付読売新聞は、教育のデジタル化に先進的に取り組んだ小都市リーヒマキ市の中学校の様子を伝えています。

以前は、パソコンを使った授業が週に20時間を超えることもあり、生徒に「集中力の低下」や「短気になる」といった問題が現れていたといいます。24年秋からは英語など外国語や、数学の授業の教科書が紙に戻され、25年秋からは物理や化学の教科書も紙に戻される予定です。

14歳の中学生は、「パソコンで見る教科書は、どこを読めばいいか分からない時があった。紙の方が理解しやすい」と発言。中学の校長は「紙の教科書は教室に落ち着きをもたらす」と話しています。市が23年末に行ったアンケートの結果では、保護者の7割が紙の教科書を希望し、教員の8割が外国語などの授業で紙を使いたいと回答しました。

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