© 2025映画「雪の花」製作委員会
2025年2月号記事
Movie
編集部がオススメする「今こそ観たい」映像作品。
「雪の花 ─ともに在りて─」
2025年1月24日(金)全国公開
日本を救った無私・無欲の志
- 【公開日】
- 2025年1月24日(金)全国公開
- 【スタッフ】
- 監督:小泉堯史
- 【キャスト】
- 出演:松坂桃李、芳根京子、三浦貴大、宇野祥平、沖原一生、坂東龍汰、三木理紗子、新井美羽、串田和美、矢島健一、渡辺哲/益岡徹、山本學、吉岡秀隆/役所広司
- 【配給等】
- 配給:松竹
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【レビュー】
江戸時代末期。伝染力が非常に強く、死に至る病として恐れられていた疱瘡(天然痘)が数年ごとに大流行し、多くの命を奪っていた。有効な治療法がなく、たとえ命を取り留めても醜いあばたが残り、不幸な生涯を送ることが多かった。
福井藩でも急速に感染が拡大。町の漢方医だった笠原良策(松坂桃李)は他の医者たちと同様、患者を救いたくても手立てがなく、自らの無力さに苦悩していた。
そうした日々が続く中、良策は、とある蘭方医と知り合い、未知の知識や考え方に触れる。そして、京都の優れた蘭方医・日野鼎哉(役所広司)に師事することを決意。妻の千穂(芳根京子)は、憂いなく精進なさいと、快く彼を送り出してくれた。
鼎哉のもとで勉学に励む中、ついに異国の種痘(予防接種)という方法を知る。そのためには生きたままの「痘苗」を輸入しなければならず、幕府からの許可も必要になる。さまざまな妨害や風評、困難にぶつかりながらも、夫婦で志を同じくし、種痘普及のために命を賭して臨む良策の信念は、やがて藩と幕府を動かしていく……。
1980年に世界根絶宣言が発表された天然痘。本作では、日本の立役者の一人である実在の医者・笠原良策の生き様を描く。原作は吉村昭の小説『雪の花』、監督は人間の美しい在り方を描いてきた名匠・小泉堯史が務めた。全編を通して、無私・無欲の精神がもたらす凛とした美しさが心を震わし、美しさと肝の太さが同居する妻・千穂の透明感に背筋が伸びる。松坂桃李や芳根京子ら俳優陣の素晴らしい好演が、失われかけた大切な価値を、私たちの元へ届けてくれるかのようだ。
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ザ・リバティWeb シネマレビュー
「雪の花 ─ともに在りて─」
(星4つ。満点は5つ)