アジア太平洋交流学会会長・目白大学大学院講師
澁谷 司
(しぶや・つかさ)1953年、東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。東京外国語大学大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学などで非常勤講師を歴任。2004年夏~05年夏にかけて台湾の明道管理学院(現・明道大学)で教鞭をとる。11年4月~14年3月まで拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。20年3月まで、拓殖大学海外事情研究所教授。著書に『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界)、『2017年から始まる! 「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)など。
ジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は8月下旬に訪中し、27、28日両日にわたり、王毅外相と会談した。
訪中最終日の29日、サリバン補佐官は午前中に「81ビル」内で、張又侠(ちょう・ゆうきょう)・中央軍事委員会副主席とも会談。
中国国防部のニュース・リリースによれば、張・軍委副主席は、米中が軍事安全保障の分野で安定を維持することは、双方の共通の利益であり、国際社会の一般的な期待でもあると語った。米国は北京に対する戦略的認識を正すとし、中国側の核心的利益を尊重し、「中国側と協力して両軍の意思疎通と交流を促進し、大国の責任を分かち合うべきだ」と述べたという。
同日午後、サリバン補佐官は習近平主席と会談。主席は、米中は2つの大国として、歴史と人民と世界に責任を持ち、「世界平和の安定の源となり、共同発展の実現者となるべきだ」と語った。
サリバン補佐官は中国指導部に対し、11月の米大統領選でカマラ・ハリス副大統領が勝利した場合、ワシントンと北京の関係について「責任ある管理」を約束すると語ったという(*1)。
過去3回の米中戦略対話では、米側は双方との政治的距離が同じ第三国を場所として選び、前回の対話はタイのバンコクで行われた(*2)。だが今回、サリバン補佐官は北京へ飛んでいる。
過去の戦略対話と比べて、米側はより多くの中国語を話す人員を派遣しただけでなく、ほぼ全員に中国駐在経験や中国留学経験がある。これはワシントンが北京と話をするために、さまざまな分野で詳細な準備ができていることを示す。