日本の平安時代中期に活躍した恵心僧都源信(942~1017年)の魂は、その後、北欧スウェーデンの神秘思想家・スウェーデンボルグ(1688~1772年)として転生した(転生を通じて伝えた「地獄の真実」 源信はスウェーデンボルグに生まれ変わった 新・過去世物語 人は生まれ変わる)。
2人に共通するのは、当時の仏教、または、キリスト教において、大きく欠けていた「霊界思想」を補い、人々に「あの世」の実在を伝えたことだ。
今回は、スウェーデンボルグにフォーカスして、その姿に迫る。
スウェーデンボルグは、当時、最高レベルの科学者であった
スウェーデンボルグが北欧のスウェーデンの首都・ストックホルムに生まれた17世紀は、イギリスの科学者で近代科学の祖といわれるニュートンが、ニュートン力学を体系化した解説書『プリンキピア(自然哲学の数学的原理)』を著し、本格的な自然科学の体系化が始まる時代であった。
理性と経験を通して世界を解釈する時代が始まり、新しい学問が姿を現し、啓蒙思想が説かれ、近代市民社会が始まろうとしていた。
この時代に生まれたスウェーデンボルグは、28歳で王立鉱山局の監督官となり、スウェーデンの基幹産業である鉱業の発展に尽力。専門の鉱物学のほかにも、宇宙論や人体の構造論などにおいて天才性を発揮した。
たとえば、飛行機の設計図を書いたり、星雲仮説(太陽の周囲を巡る星間物質が固まって惑星ができたとする説)を唱えたり、脳の構造を調べ、現代で言うところの右脳と左脳の機能の違いを発見するなど、時代を超越した業績を遺した、当時の最高レベルの科学者であった。
キリスト教から「転生輪廻」などの霊的な教えが削られた理由
この時代、人々の間にキリスト教は根付いていたものの、誰もが目に見える形での唯物的な発展・繁栄に目を奪われ、人々は魂の真実を忘れかけていた。
その背景には、キリスト教がローマ帝国で国教化するまでの過程において、もともと説かれていた「転生輪廻」などの霊的な教えがかなり削除されていたことがある。
大川隆法・幸福の科学総裁は、その理由をこう明かしている。
「イエス在世当時には、イエスの教えのなかには、転生輪廻の教えもかなり入っていたのです。しかし、後世、キリスト教がローマ帝国に認められて、ローマの国教になる段階において、霊的な部分をそうとう削除してしまったのです。その霊的な部分をたくさん入れておくと、異国の地の異教、異教徒たちの教えとの区別がつかないので、取り除いたほうがいいだろうということで、キリスト教徒みずからの手によって、イエスの教えが数多く削除されていったのです」(『宗教選択の時代』)
死者の霊が「自分は死んでいる」と自覚していないことに気づいた
イエスを信じる者は天国に行き、信じない者は地獄で永遠の業火に焼かれる──そう説かれても、多くの人々は「人は死んだらどうなるか」が明確に分からない。
50代半ばを過ぎた頃、霊的な啓示が臨んだスウェーデンボルグは、初めて死者の霊と対話した時、その霊が「自分は死んでいる」と自覚していないことに気づいた。