2024年8月号記事

Pick Up Movie

編集部がオススメする「今こそ観たい」映像作品。

「インターステラー」

2014年

『インターステラー』 デジタル配信中
価格:Blu-ray ¥2,619(税込) / DVD ¥1,572(税込)
発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント
© 2014 Warner Bros. Entertainment, Inc. and Paramount Pictures. All Rights Reserved.

 

愛は高次元存在の証拠─最もウェットなハードSF

【スタッフ】
監督・製作・脚本:クリストファー・ノーラン 脚本:ジョナサンー・ノーラン
【キャスト】
出演:マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ、ジェシカ・チャステイン ほか

 

【レビュー】

巨大な砂嵐が日常化し、世界規模の疫病で植物が枯死していく地球。人類の月着陸は捏造だと教えられ、宇宙開発もタブー視される世界の中で、人々は夢も語れず、漠然と終末の不安の中を生きていた。

田舎町の農夫クーパーの家で、ある時期から不可解な現象が起き始める。10歳の娘マーフィーの部屋で、同じ本が何度も落ち、吹き込んだ砂塵が特殊な模様を床に描く……。"誰か"の存在を感じたマーフィーだったが、NASAの元パイロットで技術者のクーパーは、それが重力変動による2進数の信号で、何かの座標であることを突き止めた。

そこへ向かった父娘は、人類を移住させる「ラザロ計画」の存在を知る。"彼ら"が土星近傍に造り出したワームホールを使い、既に別の銀河へ12人の先遣隊を派遣し、3つの星が候補となっている。想定外の侵入者だったにもかかわらず、クーパーは移住先を決定する探査船のパイロットに指名された。

期せずして宇宙を目指すことになったクーパー。物理法則を超える宇宙の深淵で彼が見た壮大な真実とは……?

クリストファー・ノーラン監督によるSF超大作。後に重力波の検出でノーベル賞を受賞するキップ・ソーン博士を製作総指揮に迎え、現代宇宙理論では最も精密なワームホールとブラックホールの描写が話題を呼んだ。さらに、"5次元時空の存在"がブラックホール内に形成したという「4次元超立方体」のシーンは、数学的解析を駆使して作られた、美しくも驚異的な高次元の映像だ。

だが、真のテーマは別にある。「愛は観測可能な実在の力。高次元存在の証拠。愛を信頼すべき」というセリフがそれを物語る。理論上、次元の壁を超え、無限遠点まで伝わる重力の性質に"愛"を重ね合わせ、時間をも超える未知の次元が"愛"であると示すかのように、ラストへと進む。科学は"高次元"に向けて進歩してほしいというメッセージに、思索を深めてみるのも面白い。

 

ザ・リバティWeb シネマレビュー

「インターステラー」

(星5つ。満点は5つ)