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バイデン米大統領はこのほど、15万人以上の学生ローンの借り手を対象に、合計12億ドル(1800億円)のローンを免除すると発表しました。

《詳細》

もともとバイデン政権は2022年8月に、連邦政府が提供する学生ローンについて、年収12万5000ドル未満の借り手を対象に、1人当たり1万ドルの返済を免除すると発表していました。しかし、ミズーリ州など6州が措置の差し止めを求めて訴訟を起こし、最高裁は23年6月、「教育省が一方的にアメリカ経済を大きく変える措置を取る前に、議会が明確に意思を表明する必要がある」として、政府の権限を越えており「違反」だと断じていました。

そこでバイデン政権は代替案として今年1月、10年以上返済を続けている1万2000ドル未満を借り入れた学生の債務を帳消しにする「価値ある教育への貯蓄(SAVE)計画」を打ち出しました。今回の発表はこの計画に基づくものです。

バイデン氏はカリフォルニア州カルバーシティでの演説で、当初の計画が「MAGA共和党員」や「特別利益団体」などに訴えられ、「最高裁もその計画を差し止めた」と述べた上で、「しかし、私を止めることはできなかった」と付け加えました。

今回の措置により、バイデン政権がこれまでに免除した学生ローンの総額は1380億ドル近くに達し、390万人の借り手が恩恵を受けることにあります。米教育省のカルドナ長官は、向こう数カ月でさらにローン免除の対象を拡大する可能性があると記者団に話しています。

ただ、これらの免除に際して議会の承認を経ず、昨年の最高裁判決を無視するかのようなバイデン政権のやり方に対しては、「バイデン氏は『お金を与えるために喜んで法律を破る』と言っているのだ」など、懸念の声が相次いでいます。

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