《本記事のポイント》
- イスラエルとハマスの戦争 : なぜ善悪を区別しなければならないのか
- イスラエル北部のヒズボラの動向
- 米軍を狙う攻撃が頻発している
河田 成治
(かわだ・せいじ)1967年、岐阜県生まれ。防衛大学校を卒業後、航空自衛隊にパイロットとして従事。現在は、ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)の未来創造学部で、安全保障や国際政治学を教えている。
2022年2月に始まったウクライナ戦争に引き続き、今年10月にはハマスによる大規模な虐殺をきっかけとしてイスラエルでも第四次中東戦争以来の大規模な戦闘が発生しました。アフリカ・スーダンでは、4月に起きた軍事衝突から7カ月が経過した現在でも戦闘が収束する兆しが見えず、むしろ事態はより深刻になっています。ミャンマーではシャン州を中心として内戦が激化し、国が分裂するレベルにあります。世界中が戦乱に巻き込まれていることに深い憂慮を感じています。
世界の状況は、今後どのように推移していくのか、イスラエル、ウクライナ、台湾について、現在の状況分析から考察してみたいと思います。
イスラエルとハマスの戦争:なぜ善悪を区別しなければならないのか
10月7日早朝、突如としてはじまったハマスによるイスラエル攻撃では、自宅にいた民間人や音楽フェスティバルの参加者など、一般市民を中心に約1200人が虐殺される惨事になりました。
イスラエルのネタニヤフ首相は、「我々は戦争状態にある」と声明を発表し、徹底した軍事作戦を開始しました。10月28日からはガザ地区への本格的な掃討作戦(Clearing Operation)に移行し、約3週間が経過した11月18日現在も続いています。
掃討作戦は、ハマスの地下トンネルがガザ北部を中心して広がっていると見られることから、この地域のトンネル網と司令部、軍事拠点を丹念に制圧し、ハマス戦闘員の組織的抵抗を排除することが中心になっています。この目的を達成するためには、数週間から数ヶ月かかると見られています。
一方、ハマスはパレスチナ人と人質を「人間の盾」とすることでイスラエル軍の作戦を遅延させ、また結果的に多くのガザ市民を犠牲にして、反イスラエルキャンペーンの国際的な盛り上げを画策しています。ハマスなどの手法は極めて卑劣で、テロ集団以外の何ものでもないと思います。
日本国内及び海外でも、イスラエル軍がガザ地区のパレスチナ人を苦しめているという報道が大きく取りあげられ、イスラエルを非難する傾向がありますが、本来は市民や人質を盾とするハマスを一番に批判すべきです。
巻き添えが過剰にならないことを心から願いますが、イスラエル軍は民間人の避難を呼びかける一方、ハマスは避難を意図的に妨害しており、また国際法上も禁止された病院施設およびその地下を軍事施設にするという行為が巻き添え拡大の要因であって、むしろ被害の大きさの責任はハマスの責任に負うところが大きいと考えます。
端的にいえば、ハマスが行ったことは一般市民の虐殺と誘拐であり戦争犯罪である一方、イスラエル軍の反撃対象はテロリスト(ハマスなど)であり、市民の死傷はその過程で生まれた不幸な「巻き添え」であるという区別は重要です。
イスラエル北部のヒズボラの動向
イスラエル北部では、ヒズボラなどが活発に活動を継続しており、このところ毎日のようにロケット弾、対戦車ミサイルやドローンなどで攻撃を行っています。
HSU未来創造学部では、仏法真理と神の正義を柱としつつ、今回の世界情勢などの生きた専門知識を授業で学び、「国際政治のあるべき姿」への視点を養っています。詳しくはこちらをご覧ください(未来創造学部ホームページ)。