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国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)はこのほど、新疆ウイグル自治区の警察がウイグル族などの携帯を大規模に監視している様子を示す報告書を公開しました。
《詳細》
HRWは、中国・新疆ウイグル自治区の警察が収集していたとみられるデータを入手して分析。その結果、中国警察が2017年から2018年にかけての9カ月間、首都ウルムチで合計120万台の携帯電話を対象に、約1100万件の情報を収集していたことが分かりました。
中国警察が調べていたのは、ウイグル族などテュルク系ムスリム住民が「暴力とテロリズム」に分類されるファイルを所持していないかどうか。HRWが収集されたファイルの一部を分析したところ、半数以上はイスラム教の聖典コーランの朗読などの宗教的内容に関するものでした。
中国警察は、携帯電話のファイルを監視するために2017年ごろ、地元住民にダウンロードを強制した「浄網衛士」というアプリを使用して情報収集をしていたと見られています。この監視アプリでは、携帯電話に入っている画像や動画を含むファイルや文章や写真の閲覧情報などを、本人が気づかないうちに警察が検索することができます。
こうしたデータを元に、中国警察は住民の監視や逮捕を行っている可能性が高いと見られています。
HRMの中国局長代理の王松連(おう・しょうれん)氏は「中国政府は、新疆ウイグル自治区のテュルク系ムスリムへのおぞましい人権侵害を正当化するために、イスラムを暴力的な過激主義と一体視している」と指摘。また、「ウイグル人は携帯電話にコーランのデータを保存しているだけで、警察に取り調べられかねない」と懸念しています。
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