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米軍UFO調査機関局長らが、「地球に宇宙人の母船から放出された探査機が飛来している可能性」などを示す論文草稿を発表し、波紋が広がっています。

《詳細》

米国防総省(ペンタゴン)には、UAP(未確認異常現象)調査機関である「全領域異常解決局(AARO)」が設置されています。

AAROは年初に発表されたレポートでも、累計510件のUFO目撃情報を分析し、その大半について、気球でもドローンでもなく、「性質がつかめず、帰属も分からない」と判定。一部については、「異常な飛行特性や性能を示している」と評価し、話題になりました。

そのAAROの局長であるショーン・カークパトリック氏がこのほど、ハーバード大学の宇宙物理学者アヴィ・ローブ博士と共著で、「UFOが地球外生命体によるものであることを前提に、その物理的特性を考察する」という論文草稿を発表しました。カークパトリック氏は米政府の要職を歴任し、科学・諜報界にまたがる重鎮です。

論文の主旨はあえて分かりやすく言えば、「UFOが地球外生命体による人工物であったとしても、物理学の法則で冷静に考えれば、より正確に観測できるし、素性についてもある程度絞り込まれるはず」というもの。

例えば、本来、普通の「物体」が超音速で移動すれば、空気摩擦による火球化や、電離化が起きるはずです。しかし、収集されたUFO捕捉情報ではそうした現象が観測されず、科学者たちを困惑させていました。これについて論文では、観測ツールが不十分であるからであり、センサー類を充実させれば観測できるはず──という主旨のことが書かれています。

また、飛行装置が星系内を移動する原理について、従来の推進力やイオン推進力、あるいは太陽光などを帆のように動力とするライトセル推進力などの組み合わせが考えられる──としています。

そして、それらによる星間飛行には天文学的な時間がかかるので、生命体は乗っておらず、人工知能が操縦し、今の時代の人類をピンポイントで観察しに来たわけでもないだろう。また、宇宙航行における加速と減速の難しさなどを考えると、母船と探査機の組み合わせがエネルギー的に有効だろう──といった仮説が、さまざまに述べられています。

論文は、こうした物理学的な見地からUFOの正体・性質について当たりをつけ、その探索に役立てる、という目的のもの。国防総省とハーバード大の協力によって作成されたと明記されており、同大ホームページで公開されています。

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