2023年1月号記事
米中間選挙の真相とアメリカ復権への道
なぜ民主党は大敗を免れたのか。その真相を探る。
「レッド・ウェーブ(赤い波)は起きなかった」「アメリカと民主主義にとって良い日になった」
バイデン大統領は11月9日、ホワイトハウスの記者会見で大敗を免れる情勢となったことをこう評価した。民主党は中間選挙に向けて、「トランプ派の共和党は半ファシズムだ」「(彼らが勝利すれば)民主主義が危機に瀕する」と訴えてきた。共和党の圧勝を免れたことで、民主党の訴えが有権者に認められたというのである。
上院は民主党が50議席を確保し、議長であるハリス副大統領の一票を入れて過半数を獲得したことになる。下院では共和党が219議席獲得し、多数派を奪還した(現地時間11月19日時点)。
民主党が大敗を免れた理由とされるのが、若年層と独身女性の支持だ。バイデン氏は8月、1人あたり最大2万ドル(約280万円)の学生ローン免除を発表。「あからさまな買収行為」と全米で批判の声が上がったが、一部の若年層には響いたとみられる。出口調査では、18~29歳の6割超が民主党に投票した(*1)。
「人工妊娠中絶の是非」もインフレに次ぐ重要争点となった。
長らく米連邦最高裁は、「連邦政府は中絶の規定を設ける権限を持たない」と各州に判断を委ねてきたが、1973年に「中絶は憲法上の権利」と認めた。この「ロー対ウェイド判決」は一大論争となってきたが、トランプ政権に任命された判事を含む保守派の判事たちは今年6月、同判決を覆し改めて各州に判断を委ねた(*2)。インフレから有権者の目を背けたい民主党は、「共和党は女性の権利を奪う」と強調。独身女性の7割が民主党支持に回ったとされる。
(*1)ただ、若年層の民主党支持は18年より7ポイント下がっている。
(*2)ドブス対ジャクソン判決。トランプ氏の任命により、最高裁は保守派の判事が多数を占めるようになった。
投票日当日に激戦州で投票機械故障が続出!
共和党を狙い撃ちか?
残念ながら、組織的な選挙不正が行われた可能性はかなり高いと言わざるを得ない。
共和党の上院多数派奪還の要衝であったアリゾナ州では投票日当日、不可思議な事件が起きた。同州最大の人口を擁するマリコパ郡で投票集計機が突然故障し、223カ所ある投票所の約4分の1で不具合が起きた。しかも共和党支持者が多い地域に集中し、州知事選の共和党候補者レイク氏自身も、わざわざ民主党支持者が多い地域まで移動して投票したという。何時間も待たされ、投票を諦めた人が大量に出た。
2020年の大統領選で「選挙不正」があったと考える共和党員の多くが、郵便投票は危ういと見て投票日に直接投票しに行ったと推測される。こうした状況を踏まえた上で、「あまりにも整然と大量の機械が同時に故障した事実」を考えると、「共和党支持者の投票行動が狙い撃ちされたのでは」という疑念が説得力を持たざるを得ない。
共和党指導部による資金配分の「失策」
バイデン政権で進んだ治安悪化
貧困層を圧迫する民主党のエネルギー政策
トランプ前大統領の経済顧問 アーサー・B. ラッファー博士インタビュー
ポンペオ国務長官のシニア・アドバイザー ピーター・バーコウィッツ氏インタビュー