《ニュース》

11月に中間選挙を控えるアメリカで、バイデン政権下で急増する不法移民の問題が再燃しています。

共和党州に流入した不法移民が、首都ワシントンや北部マサチューセッツ州など民主党の地盤に送り込まれて"陳情"するという、かつてない事態が連続して起きています。

《詳細》

バイデン大統領は大統領選中から国境開放を掲げ、トランプ前大統領が進めていた壁建設計画も「人種差別的」であるとして撤回しました。

結果として不法移民がかつてないほど急増し、就任以降の1年9カ月間で不法入国した人の数は300万~400万人ともされます(不法移民の急増とそれに伴う治安悪化は、民主党内部からも批判の声が上がるほどで、バイデン政権は今年7月、壁建設の再開を承認)。

こうしてアメリカに押し寄せた不法移民の多くが、メキシコと国境を接するテキサス州や、国境州に近いフロリダ州に流入。フロリダ州では、二度にわたって本国送還された不法移民が再び不法入国し、21歳のアメリカ人男性を殺害するなど痛ましい事件も起きています。

深刻な不法移民の問題を巡り、テキサス州のグレグ・アボット知事(共和党)やフロリダ州のロン・デサントス知事(共和党)がバイデン政権に対応を求めてきましたが、特に有効な手が打たれることはありませんでした。

そうした中ついに9月15日、テキサス州からワシントンのカマラ・ハリス副大統領の公邸前に約100人の不法移民が送り込まれました。アボット知事の指示で、移民・難民問題の最高責任者に任命されたハリス氏に陳情に来たとのことです。

アボット氏は意図して送り込んだとツイートし、バイデン政権に移民政策の厳格化を求めました。

前日の14日にはデサントス知事の指示により、フロリダ州から50人ほどの不法移民が、マサッチューセッツ州のマーサズ・ヴィンヤード島に運ばれています。同島はハリウッドスターや民主党議員の避暑地として知られ、バラク・オバマ元大統領の別荘などもあります。

これまでも、不法移民急増の被害を受ける共和党州が、「聖域都市」(Sanctuary City)として不法移民に寛容な政策をとるニューヨーク市やシカゴ市などに、数千人の不法移民を送り込んできましたが、この度の一連の"陳情"は特に話題を呼び、メディアでも大きく取り上げられました。

もちろん民主党陣営も黙ってはおらず、バイデン政権は「人間をおもちゃにして党利党略に走っている」「彼らが行っているのは違法行為だ」と批判。カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は司法省に対して、デサントス氏を「誘拐罪」に問うよう求めています。

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