《ニュース》

政府は9日、物価対策を議論する「物価・賃金・生活総合対策本部」を首相官邸で開き、住民税非課税の低所得世帯に1世帯当たり5万円を給付することを正式に決定しました。

《詳細》

給付は、市区町村が対象の世帯を抽出して、自治体から届く確認書に返信すれば、原則として世帯主名義の銀行口座に振り込まれるとしています。内閣府によると、給付の対象は1600万世帯程度を見込んでいるということで、年内にも開始する見通しです。

また、ガソリン補助の拡充も決定されました。現在、政府はレギュラーガソリンの全国平均価格が1リットル当たり168円を超えた場合に35円を上限に石油元売り会社に対して補助金を支給し、この上限を超えた場合は超過分の半額を支援しています。政府は、その期限を9月末としていましたが、12月末まで延長することを決定しました。

その他にも、食料品の価格抑制策では、10月の改定で2割ほどの上昇を見込んでいた輸入小麦の政府売り渡し価格を、実質的に据え置いています。

また、コスト削減に取り組む畜産農家には10~12月期の配合飼料代を支援。地方自治体が自ら使い道を決められる地方創世臨時交付金の中には6000億円規模の交付金枠を新たに創設し、効果的な物価高対策を促しています。

鈴木俊一財務大臣は、閣議の後の記者会見で「今回の追加策を迅速に届けるため、今月下旬に予備費から3兆円措置する。必要な財政出動は躊躇なく機動的に行う、切れ目ない対応をしていく」と述べました。

加えて、政府は今回の対策とは別に、10月に総合経済対策を策定し、補正予算を編成して秋の臨時国会での成立を目指しています。

日本で見られているインフレ(物価上昇)は、「急速に進む円安」によりエネルギーや食糧を中心とした輸入物価が上昇したことで引き起こされた面が大きいです。9月7日には1ドル=144円を記録し、このまま状況が改善しなければ、2022年末までには160円になりかねないとの予測も出ています。日本でのインフレは徐々に深刻化していく可能性が高いでしょう。

《どう見るか》