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アメリカで「宗教的自由」を守る最高裁判決が出され、注目を集めています。

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最高裁が判決を下したのは、米西部ワシントン州の公立高校でアメリカンフットボール部のコーチを務めていたジョー・ケネディさんが2015年、試合後にグラウンドで生徒と祈りを捧げていたことにより、最終的に学校区から解雇職分を受けたことを巡る訴訟です。

ケネディさんが試合後にグラウンドで一人祈りを捧げていると、そこに生徒が自主的に参加。そこからケネディさんは、生徒を鼓舞する際のスピーチに宗教的なテーマにも言及するようになったとのことです。

しかし、この件が校長の耳に入り、学校区がケネディさんに祈りをやめるよう要求。ケネディさんは一時中断するも、学校側に再開する旨を伝えました。これを受け学校区は、試合の前か後に会場以外の場所で祈るか、他の全ての人が会場を去った後に祈るよう求めるも、ケネディさんはこれを拒否しました。

その後、ケネディさんが2つの試合の後にグラウンドで膝をついて祈りを捧げたところ、学校側は有給の休職処分を課した上で、契約更新をしないことによって事実上の解雇処分としたのです。

ケネディさんは翌2016年、アメリカ憲法で定められた「宗教的自由」が侵害されたとして、保守派の公益法律事務所「ファースト・リバティ・インスティテュート」と共に学校区を訴えましたが、第9巡回区控訴裁判所は学校側を支持。

ファースト・リバティ・インスティテュートは最高裁に上訴し、司法省は今年1月、訴訟を検討することに同意。6月27日、6対3でケネディさん側が勝訴しました。

学校区側は、従業員であるケネディさんに試合会場で祈ることを許容すれば、憲法修正第一条の国教条項(Establishment Clause)で定められた「政教分離」に反すると主張しましたが、最高裁の判決はこれに対し「間違っている」と判決を下しました。最高裁は次のように述べています。

「憲法修正第一条の『行使の自由』と『言論の自由』の両条項は、ケネディ氏のような表現を保護するものである。また、憲法修正第一条の国教条項を正しく理解することは、政府に対し民間の宗教的言論を選び出して冷遇することを求めるものではない」

最高裁の文書によると、ドナルド・トランプ前大統領が指名したニール・ゴーサッチ判事は「(憲法に限らず)我々の伝統の中でも最良のもの」が、「相互の敬意と寛容、そして宗教的な見解・非宗教的な見解のどちらに対しても同じように検閲や抑圧が行われないこと」を求めていると述べ、次のように記しています。

「憲法修正第一条が二重に宗教的言論を保護しているのは、決して偶然はありません。これは(憲法)立案者たちが抱いていた、政府は宗教への規制や、反対意見の抑圧をするのではないかという不信感から自然と結実したものなのです」

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