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ドイツ政府は、ロシアがドイツへの天然ガスの輸出量を6割減らしたことを受け、ガス不足に対処する3段階のプランの2段階目である「警戒」を発動しました。

《詳細》

天然ガス市場が自由化されているドイツでは、ガス不足に対処するプランの1段階目である「早期警戒」を3月末に発動。事業者が対策を取り、政府は供給状況を監視するという対応を取ってきました。

輸入量が減る中、5月に「ガス貯蔵法」が施行され、天然ガス貯蔵施設の運営者に対し、2022年は夏を天然ガスの充てん時期にして、10月時点で能力の80%、11月に90%を満たす義務が課せられました。しかし、ドイツのガス備蓄は現在、備蓄能力の58%に過ぎず、供給が不安定な中、達成は極めて困難と見通されています。

6月23日にプランの2段階目が発動されたことで、ガスから石炭への発電燃料の切り替えを進めるほか、ガスオークション制度として、ガスを節約した企業に対価が支払われ、ガス備蓄を推進する仕組みが導入されます。今後は、電力会社が高騰するガス代を消費者に転嫁することを認める対応も発動する可能性があります。

なお、ロシアからの輸入が回復しない場合、3段階目となる「緊急」が発動される可能性があります。

5月には、「緊急」が発令された場合、連邦ネットワーク庁が天然ガスの供給先を決める方針などを発表。消防隊、病院、警察、学校、保育園、連邦軍や一般家庭などへの供給は保護されますが、産業部門は経済的・社会的影響などによって優先順位が設定されます。さらに「最終段階」では、保護対象の配給先や火力発電所への天然ガスの配給量削減も考慮されるといいます。

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