「営業」「接客販売」「マーケティング」で成果を挙げるプロの仕事術に迫り、豊かさを実現する智慧の生み出し方を紹介する(2015年2月号記事より再掲。内容や肩書きなどは当時のもの)。

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インタビュー

営業コンサルタント

長谷川 千波

(はせがわ・ちなみ)
愛知県生まれ。教材販売会社で営業実績を残し、26歳で大阪支社営業所長に抜擢。現在、営業コンサルタントとして企業コンサルティングを手がける。LUNA株式会社代表取締役。著書に『人見知り社員がNo.1営業になれた私の方法』『営業の悪魔』(以上、祥伝社刊)がある。

訪問販売を始めたばかりの頃は全く売れず、何百人もの社員が集まる前で「営業成績が最下位だ」と紹介されたことすらあります。しかし、一念発起して、翌年にはトップになりました。

営業に断りはつきものです。私も断られるとショックを受けますし、傷つきます。大事なのは、打たれ強さというよりは、すぐに立ち直る「回復力」だと考えています。

情報を活かす事前のコツ

初めて会ったお客様と打ち解けるのが苦手な方も多いかもしれません。飛び込み営業は特に、「売り込まれるのではないか」と警戒されやすいので、雑談や世間話をしてもお客様は冷めてしまいます。それより、相手が得する情報を提供して、相手の「付き合いたい会社」のリストに入ることが大切です。

「情報」は縦糸と横糸のような関係でできています。縦糸とは、勧める商品の専門知識や会う人の情報で、横糸は、毎日のニュースや業界のトレンドなどです。こうした準備があると、お客様とのやり取りに困らなくなります。年に一度聞かれるかどうか、というような稀な質問にも答えられるよう準備しておくと、言葉に深みも出てきます。

また、人は他人の考えを聞かされるのは退屈ですが、他人の経験には興味を持つものです。その意味で、体験談などは大切な話題になります。

例えば、ホームページ制作会社の社員が精米店に営業に行った時、1カ月前に東北地方のブランド米の販売を視察したにもかかわらず、その話ができずにチャンスを逃してしまいました。

情報を集める時は、アウトプットを意識して、「これをどう使おうか」と考えながら聞いたり、聞いた後でシミュレーションする必要があります。こうすることで、「情報」が、いつでも仕事で使える「知識」になるのです。

「相手の立場に立つ」の真意

実際の営業では、相手のニーズをいかに引き出すかが重要です。実は、本人が自覚していないニーズを引き出すことができれば、そのお客様は営業マンを頼りにしてくれるため、話がまとまりやすいのです。逆に、自分のニーズを自覚しているお客様の場合、すでに情報を集めているため、商談はまとめにくくなります。潜在ニーズの発見がいかに重要か分かります。

一般に「相手の立場に立つ」ことが大事だとよく言いますが、字面通りに解釈すると、「値段が高いものは勧められない」という程度の理解にとどまってしまいます。しかし、「相手の立場に立つ」とは、お客様の理想を想像することなのです。

切り詰めた生活をされている様子のお宅に教材販売に伺った時、「売れないだろう」と思って失敗しました。しかし、似た状況にある別のお客様の時には、習い事をやめて受験に集中するつもりであることが分かり、契約に至りました。お金を払う優先順位はお客様次第なのです。

営業マンは、相手のニーズを発見する前に、自分から早合点して勝手に諦めてしまうことがかなり多いです。断られるのが怖いと、お客様との会話にも集中できません。

商品やサービスを通してどうお役に立ちたいのかを伝え切るまで、自分から話を打ち切らなければよいのです。

自分の営業を検証する

私は成果が出なかったころ、お客様の感情の動きを理解するために、やり取りをノートに書くようにしました。自分が見るだけなので、よく見せようとせず、ありのままを書きます。

まず、事前の想定と違った点を記録します。相手の反論やネックになりそうな点を予想して準備しても、いざ会って話してみると違う反応が返ってきます。その理由を検証するのが大切です。

また、言っておけば良かった褒め言葉も書いておきます。玄関先で、寿司飯から寿司を作っていることに気付いたら、「手間をかけて素晴らしい」と言うだけでも喜ばれます。

さらには、失敗しても成功しても、自分が言ったことに相手がどう反応したかを検証することが重要です。相手の言葉しか記録していないと、次に活かすことができません。

こうして検証を続けると、「予算が合わない」など合理的な理由で断られる人は、コミュニケーションに何か問題があることや、逆に、「気に入らない」など感情を理由にされる場合、機能の説明が不足がちなことも分かってきます。

営業は事前の準備と、終わった後の検証の積み重ねでスキルアップしていくのです。(談)

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