2022年5月号記事
Divine Economics
サプライサイド経済学の父 ラッファー博士
トランプ減税の成果と日本への提言を語る(後編)
Part 22 ・最終回
トランプ政権で成立した大型減税法はアメリカに何をもたらしたのか。
バイデン大統領との違いや日本の変革の糸口についても聞いた。
(聞き手 長華子)
アーサー・B.ラッファー
(プロフィール)
1940年生まれ。イエール大学を卒業後、スタンフォード大学で博士号を取得。経済調査とコンサルティングのラッファー・アソシエーション会長。サプライサイド経済学の父。レーガノミクス、トランポノミクスを導いた。大統領選挙中よりトランプ氏の経済政策顧問を務める。著書に『増税が国を滅ぼす』(日経BP社)、『トランポノミクス』(幸福の科学出版)などがある。
──トランプさんの「減税・雇用法(TCJA)」は大成功を収めました。見込みでは家計所得が増えるまで3年から5年かかるとされていましたが、急速に所得は伸び、新型コロナウィルスに襲われる前のアメリカでの家計所得は8000ドル(約92万円)も増えたそうです。貧困者も660万人減り、オバマ政権の時よりアフリカ系アメリカ人の所得中央値は最も高い伸び率を示しました。博士は、この成果をどう振り返りますか?
ラッファー博士(以下、ラ): 前回触れた税制政策センターの人たちは、この大型減税法案が成立すると6.2兆ドルもの歳入減になると言っていましたが、実際には、減税法案が成立する前の2年間よりも、歳入は増えました。
赤字になると主張していた人々は、政治的動機から、ほかの人の話に落ち着いて耳を傾けることが難しいのでしょう。
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